(紹介)効率的な国語科経営への脱皮
(1)我が校の国語科経営 本校は、金沢地区の進学校として着実な実績を持ち、現在、国語科教員は十名(うち講師一名)である。 科の運営は、毎週一回開かれる科会によってなされている。問題集の選定など実務的な対応のほか、校務運営委員会や教科委員会で検討された議題について、科としての意志決定を行っている。具体的には、大学受験に対応するため、他教科とともに校内学力試験や課題試験(一年2回、二年4回、三年4回)を実施している。 年度当初、分担を決め、各問担当者が出題採点、とりまとめ責任者が全体的な成績処理をしている。このテストは、重要な進路指導資料として活用している。 このほか、夏期補習、二年冬期、三年夏期の勉強合宿の取り組みや、各学年に教えるべき内容の枠組みを検討することで、教師の個性を尊重しつつ、統一的な指導となるように配慮している。 しかしながら、本校の校務運営は進路課など課主導で、各学年会単位で独自性を発揮していく傾向もあり、科の運営は、どうしてもそれらの要望に対応するという形で行われているのが実状である。
(2)今後重視されなければならないこと
周知のように、国語科は「夏休み読書感想文」(図書課との協力)、受験小論文など手間のかかる指導が多く、入試問題の質問に答えるため長文を読解せねばならぬなど多大の時間と労力を必要とする。その上、本校は各学年ごとに職員室が分かれ、教員間の意志疎通がはかりにくいという問題もある。平成八年夏には、改築のため、二年間、金沢城内の旧金沢大学の校舎に移転することになっており、それらに移転作業が加わる。 こうした中、新教育課程によって、本校でも昨年一単位減となり、数年後にはさらに一単位減となることが確実である。教科によっては、補講によって従来の時間数を確保しようする考え方もあるようだが、国語科では、極力、与えられた枠内で対応しようと考えている。現在、現・古・漢の配分をどうすればよいかが問題となっている。 このように、多忙の中、少ない単位数で如何に効率的に指導していくかが今後ますます重要な課題となってきている。
(3)国語科経営への提言
近年、本校の教員陣は、ベテラン中心から中堅若手主力に移行、変革の時期を迎えている。そのため、旧来の制度と新しい試みが併存している場合がある。まず、こうした校務全般の省力化が必要だろう。科としても、私見ではあるが、例えば、校内実力試験の標準化や実施回数の検討、定期試験を統一問題にすることの可否、新課程に対応した受験指導方法の検討、授業進度の調整、情報交換などを考慮しなければならない。 最近の具体的な成果としては、小論文入試対策があげられる。これまで国語科教員が個別に担当していただけであったが、平成七年度からは進路課主管で、他の教科の教員にも割り振る形で制度化し、改善された。 今後とも、省力化できるところは省力化し、効率的なシステムの確立によって、名人芸に頼ることのない国語指導の必要性を痛感している。 以上のように、<経営戦略>を標榜するほど積極的なアクションをおこしているわけではないが、今後、自主性を発揮し、科が発信地になるよう、国語科教員の結束と積極性が求められるであろうし、なによりも、実現にむけての条件整備が急務であるように思う。 (「月刊国語教育」)
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