ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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私の初任は養護学校だった。国立病院付設の長期入院者のための教育施設である。私は高等部に配属され、主にデュシャンヌ型筋ジストロフィー症の生徒さんを教えた。難病で、中学校の頃に車椅子、高校の頃には電動になり、当時は二十歳前後で亡くなることが多かった。その後、レスピレーター(人工呼吸器)などの医療の進歩で、寿命は格段に延びたが、終日ベッド生活は変わらない。 彼らに受験国語を教えても意味がない。新米教師は、何を教えるか悩んだ。四方健二君は、あの時、高校二年生。前任国語教師が、彼に伊東静雄の詩を教え、彼はこの詩人に興味を持った。私に課せられたのは、選択授業で、彼と一緒に静雄の詩を読み解いていくことだった。彼は優秀な生徒さんで、読解力も相当なものだったので、こちらは、夏休み、慌てて東京の国文学専門書店に出かけ、伊東静雄の専門書を買い付けて予習するなど、下勉強が大変だっとことをよく覚えている。でも、これまで小説家しか調べたことがなかったので、いい勉強になった。彼のお陰である。 3年後、異動になり、連絡をとることもなくなったが、5年ほど前、気管支切開するため、声が出なくなるという連絡を受け、愚妻と病棟に会いに行ったことがある。 今は顔面の動きを利用したパソコンがあって、かなり早く文章を打てるようだ。マイHPを開設し、全国の仲間と広く交流してネット上で大活躍である。
そんな彼が、処女詩集「軌跡」、第二詩集「雫」に続き、第三詩集「羅針盤」(郁朋社)を上梓した。これまでは自費出版だったが、今回は出版社がつき、書店取り次ぎで全国販売される。彼流に言うなら「メジャーデビュー」である。 今月初旬、出版祝賀会が病院近くのレストランであり、当時の教員も招かれた。私は所用で行けなかったが、愚妻は参加して、元同僚たちと久闊を叙したようである。
その前日、ちよっと嬉しいことがあった。 私は、その日、前にも書いた、図書室に入れる図書を生徒自身が選ぶ会があって、市内の有名書店に足を運んでいたのだが、選んだ本を入れる段ボール箱の中に彼の詩集があるのを見つけたのである。時期的に本屋さんに並んだばかりだったはずで、その時がこの詩集との初対面であった。生徒は、おそらくパラパラとめくったくらいで選んだのだろうが、誘導があった訳でもないのに、純粋にこの詩集を気に入って選んでくれたことに、心温まるものを感じた。 後日、司書さんにこのことを話すと、彼女は興味を示し、本が納入されるや読んでくれ、前の二冊も読んでくれた。そして、学校の掲示板に、彼の詩を紹介する壁新聞を作ってくれたのである。 その上、今度の後期読書会のテキストをこれに決め、助言者はこの私にとご指名が下った。なんと仕事の早い司書さんであることか。(つづく)
(司書さんが作ってくれた壁新聞)
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(マイノートパソコンと今は無き時計 2005.6 リコー キャプリオGX8)
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