メインの話は終わって、以下は、枝葉末節。
○初日のホテルは、おそらく元々安手のビジネスホテルだったのをファッショナブルなイメージでリフォームして、価格維持を図っている感じだった。二日目のホテルは、最上階に大浴場がついていて、都市ホテルなのに浴衣で行き来出来た。日本人としてこれは嬉しく、朝風呂も結構混雑していた。どこも付加価値やお得感を出して生き残り戦略をしているなあという印象。
○ホテルのレストランで朝食とって仕事に向かうという経験がほとんどないので、スーツ姿で混雑する中、コーヒーを戴きながら、有能な(?)出張ビジネスマンの気分を味わった。そんな気分が新鮮。
○駅地下で食事をする店を探していたら、聞いたことがある店名が……。金沢の古いビルのテナントで入っている小さなカレー店の出店だった。それがまるで老舗名店のような顔をして客を呼び込んでいる。客のほとんどが本店を知らないはずで、まあ、それもいいのだろうが、でも実態を知っている私は、結構おかしかった。こんなこと、あっちこっちであるだろうなと思う。
○ホテルの小さな部屋で、久しぶりにアメリカ野球を長々と見る。ヤンキーズは、松井秀喜が大活躍、チャンピオンシリーズの覇者となった。県内資本の中堅ゼネコンの倒産、同じく地元資本のデパートの小松支店閉鎖など、石川県は暗い話題ばかり。この前は松任の大手ビール工場も閉鎖されるとニュースで伝えていた。そんな中、頑張っている県人を見るのは素直にうれしい。何年もたった時、あの出張の時、松井はヒーローになったんだと、パックで思い出すだろう。記憶はよくそうした抱き合わせの残り方をする。
○最後に寄った文具店、二年前、ペリカンの学童用万年筆を何気なく買って、以後、筆記具にはまった店である。今回、まじまじと壁に並んでいるペンを眺めると、限定品や高級品のオンパレード。昔は、気さえつかなかったが、今回は、どれがどこの国の何という名品であるかよく判る。ほとんどのものが手が出る金額ではない。
買う物買って勘定場でクレジットのサインをしようと、胸からプラスチックの安ボールペンを出そうとして、一瞬、躊躇した。「あれ、もしかしたら、これ、恥ずかしいことかも?」と思ったのである。前は何も思わなかったので、変に知識を仕入れると、気持ちが縛られ不自由になるものだなと自分の心の動きが面白かった。
○東京駅内の店は、昔と違い、お洒落になっていて名店の品がそろう。「東京ばな奈」などの定番をはずそうと考えたまではよかったが、では、何を買えばよいかさっぱり見当がつかぬ。そこで、ちょっと観察して、ファッショナブルな女性が時折買っていく洋菓子を買ってみた。後で聞くと、よく女性誌などに紹介される人気店らしく、職場の女性に好評。お土産選び大成功であった。
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