ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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一九七五年以来、ずっと定期購読している「スイングジャーナル」(通称SJ誌)。数年前、たまりにたまったバックナンバーを処分した。最近は、一年間放置して、その前の年のものを捨てている。先の休日、二〇〇八年分をくくって古紙回収に出そうと玄関に出しておいた。そんな折りの休刊ニュース。 最近は、編集者も減って記事に圧縮感がなくなり、雑なレイアウトが目立ったりと、苦しそうな様子が伝わってきていた。特選盤も広告を出してくれる特定業者の新譜ばかりに乱発して、SJお墨付きの信頼感は大きく損なわれていた。おそらく最近は発行部数が一万部前後だったのではないか。最盛期には三〇万部を売り上げたということなので、まさに凋落といってよい。ただ、ライバル誌に喰われたということではないので、ジャズをめぐる環境が厳しさを増しているということなのだと思う。フュージョンの熱狂も昔語り。若手のスターも不在。 思えば、地方都市に住む身、この雑誌でジャズを勉強した。特に最初の数年は本当に隅から隅までなめるようにして読んだものだ。もちろん、音楽なので実際の音はよく判らない。それでも想像をたくましくしてこんなサウンドではないかと予想して解説を読んだ。だから、NHKーFMのジャズ番組でその音が聞けた時など、それだけで感激した。牧芳雄、いソノてルヲ 油井正一、本多俊夫、あの頃ご活躍の評論家諸氏の多くは、もうこの世の人ではない。 そんな感傷に浸っていたら、ハンク・ジョーンズ(p)が死去したと同僚に教えられた。御歳九十一。休刊の発表より前に報じられたようだが、知らなかった。 堅実なプレイでアドリブ・フレーズのお手本のような人だった。特に左手のコードのつけかたが美しい。刺激性や意外性には欠けたが、こちらが歳をとるにつれ、そうした余裕のある演奏がしっくりくるようになった。 かといって、彼は決して地味ではない。我々が大きく彼を注目したのは、日本のレコード会社の企画で実現した、当時の若手一流どころ、ロン・カーター(b)とトニー・ウイリアムス(ds)のとトリオ、グレートジャズトリオだった。そこではトニーのスリリングなシンバルレガートの中、結構、強力なアタックを聞かせていて、あのベテランがと驚いたものだ。一時期スタジオワーク中心で現場から離れていたが、あれで、一線に復帰した。その時のインタビューでは、リズム隊に負けまいとホテルでも日々練習していると語っていたのを読んだ覚えがある。たしか、「スイングジャーナル」からの知識ではなかったか。私もあのトリオに熱狂したクチで、家には何枚ものLPがある。 ほかに、数年前の、渡辺貞夫が客演した盤もお気に入り。細かく聞くと、ちょっと気が抜けている一瞬があったり、フレーズにもたつきが感じられるが、年齢のことを考えると驚異的な現役演奏である。 これで、あのモダンジャズの最高傑作、キャノンボールの「サムシングエルス」(五八年録音)のメンバーは全員鬼籍に入った。 昔からのジャズ好きにとって、この二つのニュースは、なんだが「ひとつの時代が終わった」かのような感傷的な気分にさせる。
最近は食指の動くジャズの新録がない。それなら、今、廉価でブルーノート盤が限定発売されているので、ちょっとずつ持っていない盤を買い進めようかと、先週、数枚買ったばかりだったので、感慨はいっそう深い。
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