ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
・XP終了に伴い、この日誌の更新ができなくなりました。この日誌の部分は、別のブログに移動します。アドレスは下記です。
エキサイトブログ 「金沢日和下駄〜ものぐさ〜」 http://hiyorigeta.exblog.jp/
|
2009年03月29日 :: 文学座「初雷」を観る |
|
|
初雷 文学座 第277回例会
開演前のアナウンスで、この芝居の演題が「はつらい」と読むことを知る。かすかに違和感あり。「初雪(はつゆき)とよむ伝で言うと、「はつかみなり」ではないのかしらん。こちらには「鰤おこし」という言葉もあるので、初冬の季語かと思っていたら、立春後はじめてなる雷のことをいうらしい。日本海側ならではの勘違い。タイトル的には、この家族の不協和を雷に喩えたものか。 女主人公理子は、若い頃、キャリア・ウーマンとして働いていたが、三十代半ば、死んだ義姉の代わりに兄の子を育てるため、会社を辞めて家庭に入る。しかし、子育てが終わった今、悔いが残らないよう、もう一度、外に出て働きたいという気持ちが強くなる。五十歳ごろ感じるであろう女性共通の焦り。それがこの芝居のテーマである。この家族の場合、兄と妹が子供にとって両親となっているので、子供が大人になると、彼女の存在が希薄になる。夫婦二人だけでもう一度、夫婦水入らずでやり直すという常識的パターンをとり得ないので、尚更、悩みは深刻である。 この主人公だけでなく、その死んだ年上の兄嫁もキャリア・ウーマンであることをやめ、義父の世話をするために仕事を辞めて家庭に入った人であることが明かされたり、姪が急に後妻として年上の男性の元に飛び込むという話が加わり、連鎖のように三つの女の生き方を繋げて、観客に重層的に考えさせようとする。もちろん、キャリアを続けている元同僚との対比も忘れてはいない。その上、胡散臭げな義父の教え子という男性を登場させて、恋愛を絡めるなど、モチーフ的に複雑化させている。ただ、姪の結婚の話はだめ押し的で、蛇足の感があった。 家庭に入った女性の、この年齢になって感じる気持ちは、社会が成熟してきたからこその心情で、今の日本で大事な話には違いないし、家族の絆を考えさせるなかなか考えられた設定なのだが、小生は男なので少々主人公に感情移入しづらい上に、ほとんどを占める女性観客の年齢層は、実は、もっともっと、ずっと上で、もう済んでしまった話になってしまっていて、どうもテーマと観客層がマッチしていないような気がした。 全体的に、女性の生き方研究会が、討議前に観るべき恰好の教材といった趣き。(2009・3・29)
|
|
|
|
|
|
お願い
この日記には教育についてのコメントが出てきます。時に辛口のことも多いのですが、これは、あくまでも個人的な感想であり、よりよい教育への提言でもあります。守秘義務や中傷にならないよう配慮しているつもりです。 もし、問題になりそうな部分がありましたら、メールにてお知らせください。
感想をお寄せください。この「ものぐさ」のフォームは、コメントやトラックバックがあるブログ形式を採っておりません。ご面倒でも、左の運営者紹介BOXにあるアドレスを利用下さい。
(マイノートパソコンと今は無き時計 2005.6 リコー キャプリオGX8)
|