総計: 4369448  今日: 845  昨日: 545       Home Search SiteMap Admin Page
  日本近代文学論究
耽美派(潤一郎・荷風)
ベストセラー論
金沢・石川の文学
近現代文学
書評・同人誌評
劇評「私のかあてんこおる」
エッセイ・コラム
ものぐさ
パラサイト
<<前月 次月>>

2005年09月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

 カメラ道楽 
 アイラブJAZZ 
 オ−ディオ帰り新参 
 2004年
11月〜12月
 2005年
1月〜2月
3月〜4月
5月〜6月
7月〜8月
9月〜10月
11月〜12月
 2006年
1月〜2月
3月〜4月
5月〜6月
7月〜8月
9月〜10月
11月〜12月
 2007年
1月〜2月
3月〜4月
5月〜6月
7月〜8月
9月〜10月
11月〜12月
 2008年
1月〜2月
3月〜4月
5月〜6月
7月〜8月
9月〜10月
11月〜12月
 2009年
1月〜2月
3月〜4月
5月〜6月
7月〜8月
9月〜10月
11月〜12月
 2010年
1月〜2月
3月〜4月
7月〜8月
5月〜6月
9月〜10月
11月〜12月
 2011年
1月〜2月
3月〜4月
5月〜6月
7月〜8月
9月〜10月
11月〜12月
 2012年
1月〜4月
5月〜8月
9月〜12月
 2013年
1月〜4月
5月〜8月
9月〜12月
 2014年
1月〜3月

ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。

 内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。

 

・XP終了に伴い、この日誌の更新ができなくなりました。この日誌の部分は、別のブログに移動します。アドレスは下記です。

 

エキサイトブログ 「金沢日和下駄〜ものぐさ〜」
           
http://hiyorigeta.exblog.jp/

  2005年10月01日 :: 『志賀直哉対話集』(大和書房1969.2)を読む。

 図書室の書架にこの本を見つけた。教科書で習う以外、大正の作家を読むなんて行動をする生徒さんは、今や皆無に近くなってきたので、まあ、私が読んであげようという気分で借りてきた。
 志賀を敬して拝聴する体の後輩作家との対話より、谷崎潤一郎ら同輩作家とのやり取りのほうが断然面白い。そこで、興味のある対談相手のものだけつまみ読むことにする。

 

 谷崎と志賀は同世代。当時の二人の読書遍歴が面白い。志賀は明治十六年、谷崎は十九年生まれである。
 彼らの幼児期から青年期、いかにまともな本がなかったかということがよくわかる。時は近代文学の揺籃期である。文学史に残る有名な作品を、子供ながら同時代人として読んだことに感慨が湧くが、逆に言うと、子供が『雪中梅』や『佳人之奇遇』とかいう作品読んでいたことに、選択のバリエーションが全然なかった当時の出版界の状況が垣間見えて面白い。今では埋もれて、現代の我々が聞いたこともない作家・作品も多く話題に上がる。あの作品は全然駄目だったという話も結構あって、当時、手に入る本は、子供用であろうがなかろうが、面白かろうがなかろうが、片っ端から読んでいくしかなかった様子が彷彿とされた。
 本当に、日本文学は、小さな世界で、玉石混淆の時代だったようだ。
 戦後に生き残った大家が、明治時代の自分の読書体験をざっくばらんに語る、生き証人的発言。
 その他、興味を持ったのは、「白樺派」の内部事情の話。各学年でバラバラにやっていた回覧雑誌を統合する形で発足したので、当初、人道主義的ニュアンスはほとんどなかったらしい。それは、やはり武者小路実篤の影響が大きく、後期、そういう作品ばかりが紙面を飾るようになって、志賀自身は距離を置き始め、わざわざ紙面に馴染まぬ作品を載せたりもしたようだ。最後まで僚友武者小路との交友は続くが、倉田百三あたりは、志賀の眼鏡にはかなわなかったらしい。若い頃は、ちょっとした年齢差も人間関係に重大な影響があり、全員同等の立場で、大の仲良しだったということではなかったようだ。言われてみれば、当たり前のことである。

 

 福田蘭堂が、志賀のお宅に出入りして、その様子を語った『随筆 志賀先生の台所』(現代企画室)は、晩年の志賀の、洒脱だが好悪のはっきりした一家の長らしい人柄が生き生きと描かれていて、私の好きな本のひとつだ。この本も対話集なので、そうしたさっぱりとした一面がほの見えて、そこも楽しんだ。

 

 
 

お願い

 この日記には教育についてのコメントが出てきます。時に辛口のことも多いのですが、これは、あくまでも個人的な感想であり、よりよい教育への提言でもあります。守秘義務や中傷にならないよう配慮しているつもりです。 もし、問題になりそうな部分がありましたら、メールにてお知らせください。

  感想をお寄せください。この「ものぐさ」のフォームは、コメントやトラックバックがあるブログ形式を採っておりません。ご面倒でも、左の運営者紹介BOXにあるアドレスを利用下さい。

 

(マイノートパソコンと今は無き時計 2005.6 リコー キャプリオGX8)

 

 

 

 

Yahoo! JAPAN
Toshitatsu Tanabe Copyright(C)2004
EasyMagic Copyright (C) 2003 LantechSoftware Co.,Ltd.
All rights reserved.