ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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2005年10月12日 :: 嘖嘖・サクサク・さくさく |
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この日記を読み返してみると、よく言葉をめぐる話題を書いている。仕事柄ということもあるのかもしれないが、大学で国語学専攻だった訳でもなく、専門的な知識はほとんどない。えらく気になり始めたのは、実はこの日記を書くようになってからである。 パソコンに向かって文章を打ち込んでいくと、この表現はこれでよかったのかしらと疑問が湧く。世に「バカにみえる日本語」(辰巳出版)という本があるくらいである。一応、ネットという公に出す以上、国語教師が間違った言葉の使い方していたら恥ずかしいというただその一点で、せっせと辞書を繰るようになったのである。 例えば、先日使った「不評サクサク」。書こうと思ってから、この「さくさく」ってなんだろうと疑問が湧いた。辞書で繰っておかないと不安になる。 普通、@雪などを踏む時や、A歯ごたえがある時に使う擬声語だが、明らかにそれではない。 まず、平仮名で「B水を注ぎ入れる音」というのがあることに驚く。昔は「釜に水がさくさく入る」と言っていたらしい。 次の項目は「索索」。心に安んじないさまとある。これは、古語「さうざうし(索々し)」を教えているので想定内である。この古語、物足りない・心寂しい・張り合いがないという意味で、本来あるべきものがない欠落感を表す。勉強していない生徒が訳すと、見事に「騒々しい」とやって、こちらの思う壺である。受験暗記必須語。 その次に「嘖嘖」。口々に言いはやすさまとあって、これだと安心する。ただ、あまり使わない字なので、平仮名・片仮名それぞれに変換して検討し、擬音語的面白さを加味して片仮名で書くことにする。 これで一件落着と思い、8日の日記は書いたのだが、広辞苑の例文に「好評嘖嘖」とあることにちょっとひっかかった。そこで、今日、改めて漢和辞典で「嘖」を調べた。 中国では褒める時にも舌打ちをするらしく、「しきりに舌打ちをしてほめるさま」が原義だと知る。ということは、本来は好評の時に使うべき言葉で、「不評サクサク」は正しくない言い方ということになる。このことは「NHK放送文化研究所」サイトで解説されていて間違いないことを確認した。 ところが、情けないことに、検索をかけると、「好評嘖嘖」ではほとんどヒットしない。「好評サクサク」ですると、「サクサク感が好評で〜す。」というのばかり。それに対して「不評サクサク」は何万件もヒットする。つまり、今や誤用の方が一般的になっていることを知る。誤用は使うべきでないという正論と、現状では、誰もこの言葉を使ったからといって、そこでひっかかる人はいない、つまり恥はかかないという葛藤がほんの一瞬あって、まあ、いいか、直すのも面倒だしと、そのままにした。今後、使わないことにして、ここでは許してもらおう。 吉村昭がエッセイの中で、未だに毎日十回は辞書をひいているというようなことを書いていた。プロの作家、それも大ベテランの彼が、そんなにひくものかなと思ったことがあったけれど、今はよく分かる。
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この日記には教育についてのコメントが出てきます。時に辛口のことも多いのですが、これは、あくまでも個人的な感想であり、よりよい教育への提言でもあります。守秘義務や中傷にならないよう配慮しているつもりです。 もし、問題になりそうな部分がありましたら、メールにてお知らせください。
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