ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2006年03月05日 :: 受験小論文に付き合っての断感 |
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センター試験以降、今度は、小論文の添削に大忙しだった。前期にも小論文を課す大学が増えているようで、早くから作文を読まされた。それも、そろそろ終わり。 今年、東京の超難関某大学の小論文を連続的に読んでみて、なるほどと思ったことがある。 通常、一、課題文の読解力があり、二、その社会現象に対する知識と分析力があり、三、しっかりとした表現力(文章力)があれば、完全に合格である。しかし、インテリや為政者が輩出するこの大学では、その上に、自分がトップの座にいた場合、どう判断するか、どう世の中を導くかという「決断力」と、その決断にいたる明確な理由づけが求められているのである。指導者的発想といえばいいのかもしれない。ああ、これは、国語的能力だけではどうにもならないレベルで、この学校として、実に的確な出題傾向であると感心したのである。 こうして、毎日、生徒が持ってきた過去問の課題文や統計資料を読んでいると、今の日本の実情がわかって、こっちもなかなか勉強になる。 長寿者で高い生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を維持している人を調査したところ、一、運動習慣、二、身体機能としての視力の保持、三、普通のかたさの食事、四、定時の目覚め、五、同居の家族が関与していることの五つが重要だとわかったという。(尾崎章子他「日本公衆衛生学会誌」二〇〇三年)(富山医科薬科大二〇〇五年小論文) 生徒さんの作文には、「若者なら気にもされないほど普通なことが要因となっている」というフレーズがあって、若い彼女たちならそういう感覚なのだろうなと思った。 でも、年寄りにとっては切実で、実によく分かることばかり。人と交わり、適度な運動をし、視力と歯を維持し、規則正しい生活を心掛けること。つまり、元気に長生きするには、体をいたわる、つまり「養生」の考えが必要、若いうちからその意識を導入せよという趣旨が読みとれる。 この生徒さんの作文、高齢者もファーストフードばかり食べずに色々気をつけようと結んでいるが、おいおい、年寄りがなんとかバーガーばかり食べているわけがないでしょう。それは貴方世代のほう。端々に「自分とは全然関係がないけれど、年寄りは頑張ってね。」といったニュアンスが出てしまっている。 ということで、これでは不可という判定をした。 人の立場に立ってものを考えるということは自然に身につくことではない。こうした機会を掴まえて、そうしたところが足りないよと根気よく指導するしかないのだろう。おそらく、彼女、周囲に年寄りがいないのだ。不自由している年寄りを見ていたら、感じるところもあったはずである。 別の生徒が持ってきた小論。 問「自殺者の年齢別の推移表を読みとり、論じなさい。」 ぱっと見た目、中高年の自殺が近年急増しているのがわかる。当然これを論じなければならない。その生徒さん、一所懸命理屈つけているのだけれど、世の中に出てもいない子供に、不況による会社勤めの辛さなどを分析させても、どうも現実感が伴わない。これなぞは、ちょっと仕方がないといった感じである。 それにしても、小論文は、生徒より我々中高年に身につまされる話ばかり。受験生でなくて、中年サラリーマンに出題したら、すごくいい作文、山のようにでてくるだろうな。
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