ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2006年04月05日 :: 徳田秋聲記念館訪問記 |
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徳田秋聲記念館(金沢市東山一ー一九ー一)は、浅野川梅の橋たもと、料亭焼失の跡地に、昨年春、新しく開館した市の施設。 招待券を入手したので、それを縁に、先日、バスで赴く。市街地の施設にありがちだが、駐車場がないのが不便である。
徳田秋聲は、同郷の泉鏡花の縁で紅葉門下となるが、鏡花と較べて師の影響は少なく、後、独歩ほかの初期自然主義の影響を受けて、自然主義作家として大成する。当時は文壇の重鎮扱いされ、重きをなしたが、作風が地味で、現在、読者はそう多くはない。市が、犀星・鏡花と同様、独立して一館を造ると聞いた時、その集客力に一抹の不安がよぎった。 実際、行った日は、春の祭日だったにもかかわらず、ほとんど誰もいなかった。近くの東の郭界隈があれだけ観光客を集めているので、その一部でも、どう誘導するかが大きな課題となるだろう。 一階は、自伝的小説『光を追うて』(新潮社 昭一四)を紹介する形で、作家の生涯を紹介している。奥に、人形と映像による作品の女主人公の紹介、現存する本郷の住居の書斎の再現。二階は、原稿や書籍の展示するオーソドックスなコーナー。 おそらく、入館者のほとんどが作品を読んだことがない人のはずである。まず、作品より、その人の人生を紹介するこの方法は正しいように思う。(ただ、身内の死、三十歳年下の後妻との短い結婚以外、波瀾万丈でもなく、そうした意味で、下世話な興味を惹きつけるということはあまりなさそうだ。) 自動人形を使っての作品紹介が一番ビジュアルな展示で、よくできていた。それでレクチャーを受け後、二階の展示室を見て回ったが、どこかに個々の代表作を紹介する展示コーナーがあってもよかったような気がした。おそらく、それは企画展のテーマとして、小出しにしていく心算なのだろう。そうしないと、こうした一人の作家にスポットをあてた館の企画は、早晩、行き詰まる。しかし、県外客が何度も足を運ぶといった施設でもないので、簡単でよいからそうした紹介スペースがあればよかった。この点、ご考慮願いたい。 ナレーションの中に、「蛇のようにうねっている川面の光」というような秋聲の表現を引用していた。一聴、巧い比喩だと感心した。しっかり彼の文章読むと、そうした発見が沢山あるのではないか。地元民として、よい読者でないことを恥じるばかりである。 この記念館、二階から見える浅野川梅の橋の景観が素晴らしい。それを眺めるだけでも来館の価値はある。 この日、続けて、金沢文藝館にも行った。(つづく)
(追記 駐車場がないということだったが、現地に行くと2台の駐車スペースが確保されていた。後になって、その旨、記念館のWEBサイトにも朱書きで案内された。)
(梅の橋から下流を臨む)
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