昨秋、キャロル・キングの「君の友達」を使った英語の授業を見学した。名盤「つづれ織り」の中の一曲である。LPの原題は「タペストリー」といい、当時、この言葉は一般的でなかったので、日本語に訳したタイトルになったのだろう。ある人曰く、「今じゃ、日本語の方が意味が判らないよ。」と。確かにその通り。 その授業中、私はこの歌詞のことばかり気になった。
「君の友達(You've Got a Friend)」
あなたが落ち込んでいたりトラブルに巻き込まれた時、 だれかに心癒してもらいたい時、 そしてすべてがうまくいかない時、 目を閉じて私のことを思ってみてほしい。 私はすぐにあなたの元へ駆けつけるでしょう。 あなたの闇の夜を明るく照らすために。
もし、あなたの頭上の空が暗くなり、雲に覆われて、 あのいつもの北風が吹き始めたならば、 慌てずに私の名前を声に出して呼んみてほしい。 あなたは、すぐに私がドアをノックするのを聞くはずだから。 (キャロル・キング作詞、拙訳)
これを頭の中で日本語に訳しながら、どこかで見知った歌詞だぞという気がしてならなかった。程なく気がついた。サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」とよく似ている。
「明日に架ける橋(Like a bridge over troubled water)」
君が疲れ果て、惨めに感じられる時、 涙が瞳にあふれる時、僕がその涙を乾かしてあげよう。 僕は君の味方。たとえ、辛い時、友だちが見つからない時でも、 逆巻く水に架かる橋のように、僕が横たわってあげよう。 逆巻く水に架かる橋のように、僕が横たわってあげよう。 君が落ち込んだ時、通りに放り出された気分の時、辛く思う夜が来た時も 僕が君を慰めてあげよう。僕がその痛みを分かち合ってあげよう。 暗い闇がやって来て、傷みで心が充ち満ちてしまった時、 逆巻く水に架かる橋のように、僕が横たわってあげよう。 逆巻く水に架かる橋のように、僕が横たわってあげよう。 (ポール・サイモン作詞、拙訳)
S&Gの大ファンだった私は、何度この曲を聴いただろう。水のイメージの有無こそあるが、落ち込んでいる友に手を差しのべる「共生」の精神はまったく同じ。「When」「down」「troubled」など単語の選択にも共通性が見られる。(つづく)
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