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金沢湯涌夢二館

 

(概要)夢二が最愛の女性・笠井彦乃と幸せな時を過ごした土地という縁で、金沢の奥座敷、湯涌温泉の地に設立された記念館。夢二とその芸術を、「旅」「女性」「聖書」という三つのテーマに絞って展示してある。

 

   石川県金沢市湯涌町イ144-1
   TEL(076)235-1112 FAX(076)235-1115
 

 

(寸感)金沢湯涌夢二館訪問記
 平成12年4月に開館した湯涌温泉の中心部に位置する市の施設。開館時には、温泉街ぐるみの祝賀イベントが開催され、大勢の人で賑わった。あの時、遠くに車を止め、歩いて館まで行った覚えがある。隣りには「白鷺の湯」という湯涌温泉総湯(公衆浴場)もあり、小さな温泉にとって、大事な観光の目玉である。
  入り口にショップを配し、右に長いエントランス、隅に映像スペース、その奥に常設展示室があるオーソドックスな流れ。二階は企画展示室になっている。
 常設展示は、金沢ゆかりの女性たちの紹介が中心で、それ自体、はっきりとしたテーマを持ったわ
りやすい展示だが、残念ながら、夢二記念館としては後発のため、肝心の絵画や現物資料がほとんどなく、あっても複製ばかりなのが絵描きの記念館としては苦しい。ただ、この館の場合、画業紹介が趣旨ではなく、且つ、純粋な画家というより、今でいうグラフィックデザイナー的な仕事も多いので、印刷や製品化されたものが並んでもそんなに違和感はない。
 昭和56年、「竹久夢二伊香保記念館」が建設されている。開館ほどない時期に見学したことがあるが、大判の絵も多く展示されていたように記憶している。有名な「黒船屋」もここにある。本人ゆかりといえば、晩年、榛名山を愛し、そのほとりにアトリエを構えた伊香保の方がはるかに深いといわねばなならない。
 先月、6年ぶりに湯涌夢二館を再訪した。短時間しか観ることができず残念だったが、二階ではコレクション展「夢二・古都ものがたり」が開催されていた。こちらも、「夢二の京都時代」というテーマがはっきりしていて、わかりやすい展示だったが、同じく複製や印刷ものの間に手書きがまじるといった内容だった。
 伊香保の他に、東京文京区弥生に「竹久夢二美術館」、日光に「日光竹久夢二美術館」、岡山市に「夢二郷土美術館」、瀬戸内市にその分館、会津若松に「竹久夢二史料館」、夢二専門の画廊まである。完全に乱立状態で、本物がこの館に余り無いのも致し方ないが、今後は、各ゆかりの地と連携交流を深めるなど、乱立を逆手にとっての手だてが必要かと思われる。
 この館だけを目当てに湯涌に行くというより、江戸村の再移築も進んでいる、みどりの里という施設も出来、先ほどふれた総湯もある。今流行の足湯も作った。旅館の多くも日帰り客用の昼食お風呂コースを設定している。そうしたゆったり
リフレッシュの一環として、夢二と湯涌の関わりも勉強するといったスタンスで行くと楽しい一日がすごせると思う。

 この文化施設が出来た頃から温泉全体が元気になった。金沢の奥座敷、こじんまりとしたいい温泉場の施設である。    
                        (2006.8.10)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(参考)「湯涌わくわく体験」で夏の観光
 金沢湯涌夢二館のHPを観て、「湯涌わくわく体験」という湯涌温泉文化施設を巡る体験日帰りツアーの存在を知り、近場娯楽ということで、昨日参加してきた。
 梅雨明け宣言が出され、夏の初日という感じの観光日和。我々以外は全員子供づれで、お手軽夏休み企画として、お母さん、いいのを見つけましたねえといったところ。
 まず、私の場合、バスの集合場所にどうしていくかから悩まねばならぬ。愚妻は徒歩を主張したが、他人とご一緒の行動が終日続くので、ここでへたばっては元も子もない。タクシーで乗りつけることにする。
 バスからの景色が新鮮なことに驚く。久しぶりの湯涌街道ということもあるが、観光バスの座席が高いので、これまで、見えていなかった市内商店街の階上の家並みが目に飛び込んでくる。この手のバスの乗車自体が本当に久しぶりだと気づく。それだけで結構満足している自分に、乗り物大好きな子供みたいだとチラリと思う。
 最初は、かつて檀風苑といっていた場所。今、「湯涌創作の森」という体験工房になっている。受付棟から伝統建物を移築した各施設へシェルター型の長い通路づたいに移動する。我々が選んのは藍染めで、工房は蔵を改装したもの。
 インストラクターの若い女性の「藍染め模様には失敗はありません、それもまた味です。」という最初の説明で、私は非常に安心する。こういう押さえは初心者には大事である。
 染料は蓼藍を使用。しぼって、私は円相、愚妻はジグザグ模様を作る。瓶の染液が異臭に満ちて、同行の子供たちは臭い臭いと大騒ぎであった。こんなことも実際に体験しないと判らない。一時間半後、同じ藍色でも全然個性の違うハンカチが出来上がった。
 次の夢二館はオープンの混雑時に行って以来だったが、子供たちには不評で「早く温泉行こうよぉ。」という声が聞こえてくる。まあ、無理もない。予定時間自体も二十分しかなく、この点は残念だった。何度もこのツアーを実施して参加者の希望に沿った結果、こういう配分になったのだろう。
 そういえば、今回、「こども金沢検定」というラリークイズをやっていて、子供たちは、行く施設行く施設で一生懸命解いていた。午後の見学場所で、「杏っ子」「性に目覚める頃」を書いた金沢の文豪は誰? という四択クイズが出ていて、母親たちも判らなかったらしく、急に私に聞いてきた。この問題、地元民の常識レベルでは判らないということが判ったのがちょっと面白かった。秋の「小景異情」の授業の時、散文もしっかり紹介しなくては。それにしても、何で私に振ったら判ると思ったのでしょうかね? 
 お昼は温泉旅館で懐石膳を堪能する。夏の青葉を眺めながらの露天風呂、大広間でのうたた寝と続く。大人は、もちろん、こっちが主目的である。湯船では、日々何をあくせくという気持ちが陶然として湧く。毎日こんなのがいいなあ、でも、すぐに飽きるかなあ、飽きたらどうしようなんて安逸な夢想を楽しんだ。
 午後は、閉鎖中の旧江戸村より数棟再移築して前日オープンしたばかりの旧家群を見学。最後は、湯涌みどりの里で蕎麦打ち体験となる。
 これも初めての経験で、蕎麦作りは簡単そうに見えてなかなか難しいことを実感した。大きく棒で延ばしたら、端が切れたり、均等に切れず、麺の太さが違ったり。でも、これも最後には自分で作った麺がお土産になるので、単純に大満足して、無事、ツアーは終了した。
 「蕎麦は生ものですから今日明日中に食べて下さい。」ということだったので、帰宅後、即、食べたが……。
 ううーん。湯がくとブツブツに切れ、食感も滑らかさに欠ける。お手製という自己満足度をさっ引くと、ちょっと微妙な味ということになってしまいそうだが、蕎麦は奥が深い。そうそう、これで、簡単に美味しかったら、「蕎麦文化」なんていわないよねえということで話は決着した。もちろん、あっという間に完食いたしました。
  共稼ぎ、夜に家に戻るの繰り返しの日々。近場にもかかわらず、観光気分で気持ちが解放されたし、人様ペースでも腰は何とかなった。ちょっと夏休み親子企画に紛れ込んだみたいだったけれど、意味のある一日だったような気がする。大変、いい企画と思う。企画者に感謝。(2006.7.31「ものぐさ日記」より転載)

 

※この「極私的金沢文学巡り」のシリーズは、多くの人に金沢の文学施設を知ってもらいたいと思って作ったものです。ここに書かれた文章は、まったく個人的な感想であり、公のものではありません。

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