ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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黙々と掃除をしている生徒たち。雑談さえしないので、「君たちのクラスは静かだと言われていないかい?」と話を振ったところ、学年で一番静かだと思うとの返事。「静かなのはいいけど、覇気がないのだったら、よくないねえ。」と言ったところ、
「ハキって何?」
と聞かれてしまった。こっちが驚いていると、隣の子が、
「ライブリネスのことよ。」
と小声で助言。それで、その子は分かったという顔をした。 どうやら日本語より英語の方が判るらしい。聞き慣れない英語なので、後でこっそり辞書を引くと、
「Liveliness」…元気、活発
とある。うーん、間違っていない。でもなあ。
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以前、太宰治「富嶽百景」を超特急で授業するための文章を書いてアップしたことがある。何年かぶりで、この作品をやることになり、それを印刷した紙を見ながら授業をやってみた。 前回は触れる暇はなかったけれど、冒頭部、富士山は鈍角だが、絵はほとんど鋭角だという話が出てくる。富士だと思うからすごいのであって、実はたいしたことはないということを言うための部分だが、絵の話を先に出してきたところがミソで、今後、芸術表現をどうするかと悩む主人公の気持ちの伏線になっている。 また、ダメだと言っておきながら、冒頭部、十国峠で観た富士は思った以上のところに山の頂があってよかった、「完全の頼もしさ」に接したと、既にして肯定的な記述がある。スタートの統一からすると、冒頭部は「ダメだ、俗だ」で始まらないといけないとはずなので、なぜ褒めている部分が最初にあるのかと思っていたが、これも、ネタバレというより、今後、しだいに富士山に信頼をよせていくという伏線になっているのだ。自分はなにも石頭で固まっていて否定している訳ではなく、ちゃんと柔軟性を持っていると言いたいのであろう。 何ともうまい冒頭部だなというのが今回の再読で一番の感想。 少しずつ気持ちがほぐれていくクレッシェンド的な構成に関しても、ひとつひとつの挿話の配置に抜かりがなく、今回もまたストーリーテラーぶりに感心しきりであった。 それに、自分はこれまでダメダメだったけれど、富士山であんなことこんなことがありまして、人間への信頼を回復して、まっとうな人間になりました、過去のことは許していただき、これからはがんばりまっせ、という作者自身の処世術的メッセージもプンプン匂ってきて、これがまたなんとも呆れるぐらいあざといので、しゃあない、ここまでやられると、作戦だと判っちゃいるけど許してあげると思いたくなるようなしかけになっていて、何とも巧み。 ただ、今の子は昔と違って、全然、太宰をはじめとする近代小説を読んでいない。こっちの感ずるプンプンとした太宰らしさを、彼らがどれだけ感じ取ってくれているかは、まったく心許ない限り。
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五十年代から活躍しているモダンジャズの巨人ジュニア・マンス(p)をメインゲストに迎えた今年のビッグアップルイン野々市。今年で第十八回。 例年通り金沢大学のビッグバンド二曲からスタート。ムーンライトJAZZオーケストラに、ゲストのケニアッタ・ピーズリー(tp)、キース・ロフティス(ts)、石崎忍(as)井上智(g)が加わった形で第一部が進行した。tpはバランスのよいアドリブでまさに中堅実力派。 第二部は御大ジュニアに日本人二人のドラムレス・トリオ。美形女流バイオリン奏者ミチ・フジに、ベテランベース奏者ヒデ・タナカ。御大は、勿論、骨の髄までブルースの人で、名盤「ジュニア」を聞くまでもなく手数自体は多い人ではない。御年八十四。歩行が少々おぼつかない感じでの登場だったが、紡ぎ出す旋律は珠玉のブルースフレーズの連続。何とも真っ黒な世界が現出する。 当然、黄色い日本人メンバーとの間に落差があるのではないかと危惧したが、バイオリンもブルースそのもの。人気の寺井尚子とは一線を画すタメの効いた繊細なアドリブソロを紡ぎ出す。さすがジュニアと組むだけのことはあると感心。ベースも同様。ソロフレーズが見事に唄っていて、ドラムがない分、意図的に胴鳴りを多用しパーカッシブな音を挿入し、多彩な技を見せる。アルコプレイも巧みで彩りを添える。じっくり聴かせる曲が多かったが、一曲一曲聴き所があって観客は静かに聞き入っていた。個人的には、大好きな「ティン・ティン・ディオ」をやってくれたのがうれしかった。ガレスピーのところにいたコンガ奏者チャノ・ポゾの作曲。御大もガレスピーグループに在籍しいていたことがあり、ゆかりの曲である。 時間が押してきて、最後の合同演奏が短時間だったのが少し残念だったが、これもブルース。全編、素敵なブルースを堪能できた数時間。ブルースって日本人の唱歌のようだと改めてその魅力を実感した。メロディが、あれ、これ「浜辺の歌」とそっくりなんて思ったりしたので、年配の方の多くなってきた聴衆は、何とも言えない懐かしさを感じて満足したはずである。 このコンサート発足以来何度も登場している御大。お歳から今回が最後という気持ちがあるのだろうか、閉演後も舞台に登場したりして、名残り惜しそうであった。
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暑さが長引き、すとんと冬になった。会う人会う人時節の挨拶は、「今年は秋が短かったですねえ。」 タイヤは既に冬タイヤに。出勤時、車の温度計は六度。綿の入った防寒着にはまだ早い。部活用の丈の長いウインドブレーカーあたりが今の外套としては最適といった今日この頃。暖房もそろそろ常用となってきた。 職場の書架に彼岸花の写真を表紙に載せた冊子がこちらを向いて置いてある。ピントが浅いので、蘂(しべ)にはあっているが、手前の花弁は少しぼけて滲んでいる。今年はついにこの花を見ずして終わったとそれを見て気づく。季節は二ヶ月ほどずれてしまっているが今頃秋の花鑑賞。それも印刷の写真で。
我を刺し返り血浴びし曼珠沙華
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弓道の大会で武道館詰めを三日間して、少々へたばり気味。今日の休日は、午前中なにもする気がなく、久しぶりにターンテーブルを回し、アナログレコードを聴いてすごす。 雨だが、無為に過ぎていくのが惜しくて、昼過ぎに外出。洋食店が潰れて出来た中華料理店に初めて入ってランチ。庶民的な店だが、女給さんは皆中国人で、注文通しや店員同士の会話がチャキチャキの中国語と日本語が入り乱れるところが何とも面白かった。ひとまとまりの会話の中でも融通無碍に混在して出てくる。おそらく必要に迫られて実践的に覚えた日本語なのだろうけれど、つまりはちゃんとバイリンガルで、なんとも逞しい。 今日のメインは金沢市立中村美術館の秋の企画展「絵画と鑑賞陶磁」展を鑑賞。掛け軸、屏風を中心に、古九谷などの絵付け大皿が並べられていた。 中では、婚礼の調度だったという「祇園祭礼図屏風」(加藤遠沢)が、今も変わらぬ祇園祭の様子を細かに描いていて見応えがあった。大勢描かれた見物の庶民の様子をひとつひとつ眺めていくのは何とも楽しい。館前の小公園の黄葉も落葉し、地面に敷きつめられた様子も美しかった。 最後に、いつもいく大型スーパーで買い物。店を出ると既にあたりは真っ暗で少々驚く。 暦の上では立冬を過ぎている。先日は「鰤おこし」(雷鳴)がうるさかった。ここ、冬間近の金沢。
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最寄りのスーパーマーケットはブルーチップの加盟店で、ポイントを貯めるとハーフ券なるものをくれた。それを集めると商品がもらえる。数年前、樹脂カードになって違うポイントシステムに移行したので、もうブルーチップの紙券を貰えることもない。そこで、たまったポイント全点を使って、当初目標にしていた通り、腕時計と交換した。シチズン社クロノグラフタイプのソーラー時計、革ベルトタイプ。カタログ注文なので、実物は思ったより大きく重く、存在感たっぷり。 今日、初めてはめて仕事場にいったが、新しいものを身につけると、一日、新鮮な気持ちがした。 計算すると、私はそのスーパーに三百万円ほどお金を落としていることになる。いつから集め始めたかは忘れたが、二十年はとうに越えている。ムーブメントとソーラー装置はおそらく今愛用の時計とそうは変わらないはずで、今の時計同様、長く使っていきたい。 さて、今後、今のシステムでたまるポイントをどうするか愚妻と考えたが、今度のように、次たまるのが、四半世紀後というのでは、こっちが生きているか怪しい。ある程度たまったら現金ポイントとしてさっさと使ってしまうにこしたことはないという結論になった。 ということで、私の人生最大の「ポイント交換」はこれということになりそうである。小額で使ってしまおうという誘惑にも負けなかったし、引っ越しの時にも捨てずにしっかりしまい込んで、事ここに至る。これ、もしかしたら、我が人生でもっとも粘り強く継続させたことかもしれない。 (もっとアカデミックなことにその力を使わんかいという叱声が飛んできそうである。)
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お願い
この日記には教育についてのコメントが出てきます。時に辛口のことも多いのですが、これは、あくまでも個人的な感想であり、よりよい教育への提言でもあります。守秘義務や中傷にならないよう配慮しているつもりです。 もし、問題になりそうな部分がありましたら、メールにてお知らせください。
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(マイノートパソコンと今は無き時計 2005.6 リコー キャプリオGX8)
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