ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2009年09月02日 :: 読書雑感 |
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内田樹「下流志向」(講談社) 教育が経済の等価交換原理に征服されていて、「なぜ勉強しなけらばならないのか?」という子供たちの疑問の横行は、知の下流志向しか生まないという論旨。我々現場人が漠然と感じている最近の子供たちの変化を明快に分析して、まったくもってその通りという気持ちで読んだ。確か同趣旨のテスト問題を読んだことがあるぞと去年の綴りを調べたら、この本そのものからの出題で、「なあんだ。」気分だった。
池田晶子「暮らしの哲学」(毎日新聞社) 一昨年、四十歳代後半で急逝した女流文筆家による哲学エッセイ。最晩年の作にあたる。内省的な、自己や人間そのものをやさしく分析するエッセイ的な文章に、時折、哲学や宗教の初歩的な専門知識が混じり、読者に思惟を誘う。決して社会的とはいえない、独り言のような部分のある文章だが、社会分析ものばかりを義務のように読まされている我々にとっては、こういう種類の文章に出会うとほっとする気持ちにもなる。現代は、あまりに現象分析的な文章ばかりになっていることに改めて気づく。 彼女の老いや病気、ペットへのつぶやきは、ほぼ同世代なので、よく判り、シンパシーを感じた。同じ時代を過ごし、同じく人生行路の半ばを過ぎた中年の感慨として……。中で、子供時代の夏休みの輝きを語った一編が出色。 癌の末の死去ということのようだが、闘病真っ最中に書かれたであろうこの文章に、そのことに触れた記述はない。彼女的な発想では、ジタバタ騒ぎたくなかったのであろうし、騒がないことで自分の立場を全うしたかったのだろう。実に、今時言葉で言えば「男前」な人であった。
元村有希子「理系思考」(毎日新聞社) 毎日新聞科学環境部記者に配属された文系人間の女性が書いた科学コラムを集めたもの。専門外故にばかされず本質的質問をして、専門家に「いい質問ですね」とほめられたとある通り、素人の立場だからこそ書けることがあるというスタンスは、わかりやすい文章に見事に現れていている。科学はおもしろいという啓蒙的立場に満ちている上、新聞のコラム記事として短い字数でうまくまとまっており、なかなかの書き手である。
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