(書評)有田正光・石村多門共著『ウンコに学べ!』ちくま新書
『ウンコに学べ!』に学べ!
「声なき肥えを聞こう! 環境問題というとダイオキシンやゴミ処理が浮かぶ。だがその前にまず、我慢できないウンコのことを考えよう」というのがこの本の腰帯。まったく直截なタイトルである。 書店のレジで「カバーをおつけしますか?」と聞かれ、「ウンコの方にはつけて下さい。」と大声で答えて、周りのお客さんの注目を浴びてしまった。 詰まるところ、糞尿を考えるということは、上下水道を中心とした水処理のシステム、しいては地球の水循環を考えることである。この本を読んで、糞尿の海洋投棄の問題や、目の前にある汚物を見たくないがための水洗トイレだったことなど、結局、「巡り巡ってウンコを食っている」実態が理解できた。 話は、真面目な環境論から、肥溜めの話や厠(かわや)の話、学校でウンコができない子供たちの話にまで及ぶ。「大和撫子の立ち小便と連れウンコ」(小見出し)的ノリの話題と、「ウンのつき」的親父ギャグも豊富。 河川の専門家と倫理学者の共著で、理系・文系、どちらでも楽しめる。
(「碧水」第29号 平成14年3月2日)
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