ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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昨日今日、叔母の十三回忌があり、懇親の温泉行きに招待された。場所は能登半島和倉温泉。厳冬の能登有料道路(今年四月より無料)が心配だったが、なんと言っても四駆の二〇〇〇CCインプレッサ。好天に恵まれ、快適なドライブだった。 宿泊は初めて聞く旅館であったが、長い美術ギャラリーのようなエントランスを通って、行き着いたフロントは、カウンターではなく、コンセルジェスタイルの机が二つという斬新さ。浴衣のかわりの作務衣はその場で渡され、案内の仲居はそもそもいない。部屋のお湯もビジネスホテルのような自分で湧かす電気ポットが置かれるなど、徹底的な省力化がなされた都市型ホテルのような温泉宿であった。夕飯もオードブルくらいは最初並ぶが、後はビュッフェスタイル。中央でコックが肉や天ぷらを目の前で料理して饗するのがちょっとリッチな感じを演出するものの、それ以外は食べ放題のレストランと変わらない。これまでの仲居が並んでお酌をする人海戦術スタイルとは大きく違うスタイルで、だからといって激安が売りの全国チェーン旅館のような貧相さはなく、すべてにおいてお洒落にしつらえてある。 客層も、手厚いサービスで高額を取るところは手が出ないし、かといって、せっかくだからちょっとリッチに楽しみたいという、小さな子どもがいる若いファミリー層の家族サービスといった趣であった。今、人気の宿だそうである。もともとは従来型の旅館のリニューアルのようで、お風呂などは立派な大浴場。そのあたりは従来型を踏襲している。 仲居の世話や女将の挨拶回りなどは煩わしい、それでお金がつり上がっているのは理不尽だと考える層が今拡大しているので、それにうまく対応した宿といった感じであった。 ただ、ここが大人気とすると、至れり尽くせりのおもてなしが売りの石川県の温泉郷の向かう先はどういう方向になるのだろう。 例えば、ネットでは、女将の挨拶を煩わしいと受けとる意見のほうが多数派だった。女将の挨拶があって、招待した者として大いに面目を施したという意見があるにはあったが、おそらく、そう書きこんだ人はかなりの年配者。せっかくの温泉、女将の挨拶があり、仲居さんがお酒を注いでくれ、ご飯も上げ膳据え膳、家で味わえない関白ぶりを味わえるというのも我々世代ではもちろん「あり」なのだが、長引く不況下、そういうことも一部の旅館でやっているという程度になるかもしれない。
話は少々ずれていくが、最近、YAHOOの質問コーナー(ヤフー知恵袋)を読み、多く寄せられているアドバイスを読むと、私ならこう判断するという意見のほうが少数派で、それはいい意見ではないなと思うほうの意見が圧倒的であったりする。ベストアンサーに質問者が選んでいるのもそちらのほうという事態も珍しくない。おそらくそれは私が変な人だからではなく、世代世代の常識が違っているからである。意見の違いは、文章の書きぶりから判断して若い回答者と年寄りの回答者の違いである。例えば、彼氏が毎日風呂やシャワーに入らないのはなんて不潔と苦情を書いてあって、同意者が沢山いたが、私らの世代、家に風呂がなかったので、銭湯にいったが、当然、毎日入るなんて贅沢はできなかった。一日おき、冬場は中二日で、そのかわり入ったときにはじっくり入った。たしか肌的にも毎日石鹸は負担が大きいと聞いたことがある。一日置きにそのかわりじっくり洗うのだったら何の問題もないように思うのだが、今や、やむを得ない場合を除いて、毎日入るのが「常識」になっているようである。こんなたわいのないことでさえかくの如し。嫁姑の関係など人間関係の、心情の大きく混ざった「当たり前」の違いなどは、もっと複雑で、私には納得のいかない助言だらけなのであった。総じて、若い世代の助言は、結果的に人間関係を、希薄な方向、当たり障りのない方向、孤立化の方向に向かわせるドライなものが多く、この流れが日本の人間関係の「常識」になると、ちょっと冷たい社会になるのではないかと心配になる。 ネットを読むと、自分の常識・価値観が古い部類になっていることを痛感する。身についた常識、そう時代に合わせて変えられる訳もない。そういう価値観で死ぬまで身を律していくしかない。せいぜいできることは、若い世代はどう考えるかということの情報をしっかり仕入れて、こちらの価値観の表明が押しつけにならないよう留意することである。
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