ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2011年01月11日 :: 「東京物語」を買う |
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評論問題で小津安二郎の映画は「反映画」だという文章があって解説した。小津映画を観たことがある生徒は皆無。どんな映像かというところから解説しなければならない。 そんな折り、書店で小津の代表作をDVD付きにした選集「小津安二郎名作映画10+10」(小学館)の初回配本「東京物語」を見つけた。購い、この休みに鑑賞した。何度も観ているのでよく知っているつもりでいたが、そうでもない。覚えていないシーンが幾つもあった。 東山千恵子が死んでから、もっとさっさと話が終っていたように記憶していたが、思いのほか長く、娘の杉村春子が形見分けの話を切り出すなど、この作品に与えた実子の立場をこれでもかと強調したり、笠智衆や原節子にテーマを語らせたりして、ちょっと間延びがし、底が浅くなっている気がした。 私が、今回、気になったのは、連絡手段。尾道とのやりとりは電報。長男山村聰と杉村春子との間は電話。映画上映の昭和二十八年で自宅に電話があるのは珍しかった。都会で且つ医院と美容院という客商売だからこそ。我が家に電話が入ったのは昭和三十年代後半だったから、十年も後のことである。あの当時、田舎であの映画を観た人たちは、都会の連絡事情を知って羨ましかったのではないだろうか。「遠地コミュニケーションとしての「東京物語」」なんて論文がありそうである。家の造り、日々の生活、町の様子。高度成長経済で日本が安普請をし始める前の、私の微かな記憶に残っている日本があちこち出てきて懐かしかった。 上演時、原は三十三歳。お嬢さん役は香川のほうで、戦争で夫を亡くした未亡人役に適年齢。彼女に合わせての台本なのだろう。 お懐かしい人が沢山出ている。東野英二郎、中村伸郎、大坂志郎、十朱久雄……。あの人もいない、この人もいないと思いながら映画を観ていたら、今、生きているのは末子役の香川京子とヒロイン原節子だけだと気づいた。原は今年九十一歳、香川は八十歳。 学生時代、池袋の映画館で小津映画オールナイト一挙上映で観てからも既に三十年近い。ちょっとここのところ故人を偲ぶことが続いたので、尚更、感慨が深かったということもあるかもしれない。
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