ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2011年03月28日 :: 文化座「てけれっつのぱ」を観る |
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小樽在住の蜂谷涼なる女流が書いた小樽を舞台した作品。二〇〇六年出版され、二〇〇八年に文化座で舞台化されたもの。 士族の嫁にもかかわらず維新で没落し、薩摩出身の官吏の妾となった女、その女を助ける主人思いの女中、その官吏の正妻。この女三人や関係の男達が、小樽を新天地にして「きし屋」なる店を興し、生きていく様子を描く。 男尊女卑、正妻のプライド、妾の立場の辛さや葛藤。当時の女性が置かれたもろもろをうまく表現していて、おそらく女性陣には大好評なのではないだろうか。 しかし、女性が感じ入るようなパーツパーツを手際よくくっつけたかのように見えたし、筋立てに少々現実感がない。時々、当時の女性は本当にそう考えるのが普通だったのだろうかというようなうっすらとした疑問を感じる。今の人が、こうだろうと考えて作りましたという「作り話」感をするのである。 芝居としては、後半、仲間が死んだり、地回りにからまれ立ち退きを要求され、火事の中、大立ち回りがあったりして、劇的で飽きさせない演出がされているが、最後、どういう根拠があって希望を託して前向きに考えているのかよく判らないままの「前向きな」終わり方になっていて、観ているこちらは、単に脳天気な人びととしかしか映らないのであった。 舞台は明治十四年。なんでこの年に設定されているのか、最初、全然考えずに観ていたが、最後の方で、それが絡んできた。すぐに気がつくべきであった。例の黒田清隆の開拓使払い下げ事件、それに伴う明治十四年の政変の年。翌年、開拓使自体が廃止になる。つまり、北海道にとってターニングポイントとなる年だった。ダメだなあ、そんなこともピンと来ないなんてと、最後あたり結構情けない気持ちになっていた。そっちのほうが自分には余程気にかかった。 今回、終了後、作者蜂谷が舞台挨拶した。東日本大震災のことに触れ、このお芝居と重ねて思いを述べていたが、失礼ながら、そんな大層なものだろうかという気持ちが私には強かった。平成二十年度の芸術祭大賞を受賞したということだが、万人が感嘆する出来ではない。私のように感じる方も多いのでは。 (2011・3・27)
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