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ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。

 内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。

 

・XP終了に伴い、この日誌の更新ができなくなりました。この日誌の部分は、別のブログに移動します。アドレスは下記です。

 

エキサイトブログ 「金沢日和下駄〜ものぐさ〜」
           
http://hiyorigeta.exblog.jp/

 2006年10月31日
  柳模様の物語

 生徒を引率して金沢大学に出向き、歴史学の東田雅博先生の講義を聴いた。題して「柳模様の世界史」。授業は、この絵柄の皿、お家にありませんかという投げかけから始まった。
 大航海時代の東西交流の結果、西洋に中国趣味が流行した。そうした中で、中国を舞台にしたある悲恋物語が有名になった。
 それは、「裕福な家の娘が使用人と恋に落ち、親の決めた結婚相手から逃れて駆け落ちしたものの、見つかって最後には二人とも死に、二羽の鳩に姿を変える」というもの。
 この物語は、陶磁器の絵柄「柳模様(ウィローパターン)」になり、定番のデザインとなって、イギリスの食卓を飾るようになった。当時の英国人は、子供の頃から見慣れたこの文様によって中国のイメージを醸成させたそうで、この時代、中国は紳士の国として尊敬すべき国というイメージだったという。
 後、列強の干渉に国が傾いて、日本も日清戦争で利権を奪取すると、この有名なデザインを使って風刺絵も作られた。その図柄をレジメで見ると、本当なら駆け落ちして橋を渡っている人物が、中国から財宝を持ち出す日本人に置き換わっている。他にも、列強の国旗が、木や鳩の羽などにそれぞれ騙し絵のように織り込まれていて、当時の世界情勢全体を皮肉っていることが判る。
 この「柳模様」の皿は、高級陶磁器メーカー、ミントン社などが作って、長く親しまれていたが、今はかの地では作っておらず、この日本、地元の優良企業ニッコー社(元「日本硬質陶器(株))が作っている。皆さんのお宅にこの図柄の皿があるのではないですかと尋ねたのはそういう理由ですと冒頭に戻って話は終わった。
 皿の絵という具体的なものと歴史という抽象的なもの、西洋史と東洋史、過去と現在がすうっと交錯して、大学の講義らしいスリリングな話だと感心し、大いに刺激を受けた。これは、お話だけではなくて、テレビ局あたりが異文化接触の物語として、ふんだんに映像を使ってドキュメンタリー番組にでもしてくれると面白いかもしれない。
  私は熱心にメモをとったのだが、さて、生徒さんはと見れば、ほとんど筆を動かしていない。「聞いてはいたよ。」といった風情。どうやら、これが勉強だという意識が湧かなかったようだ。
 確かに、彼ら一年生が勉強と思っているものは直線的で単一だ。歴史は古代から現代へ真っ直ぐ。古文は古文、現代文は現代文で別。英語と国語、語学として目指しているところは同じなんて感覚はほとんどないだろう。狭い範囲を順番立てて進むから勉強すべきだということが判る。先生が黒板に字を書くから書く。そんなレベルである。だから、今回のように黒板を一切使わず、且つ、広範に知識を結びつけるような話を楽しむには、まだ、ちょっと基本となる「基礎学力」と「学習を受ける訓練」が足りていない。これが、今の時期の三年生だったら、そのあたりのことはクリアされているから、大いに楽しんだことだろう。我が勤務校の、最上級生のレディネスは、バッチリである(と信じたい)。
  最近は、こうした「大学見学」が盛んだ。新築なったばかりの自然科学棟を私は初めて見たが、吹き抜けのエントランスなど贅沢な空間利用の設計で、ホテルのような造りに驚いた。
 この企画、一山全て校地という恵まれた国立大(独立行政法人)の環境を見せて、まず、生徒様に、いい大学入ってみようかなと思って戴こうという、ありがた〜い教育的配慮の行き届いた行事である。
                                                                                                 

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お願い

 この日記には教育についてのコメントが出てきます。時に辛口のことも多いのですが、これは、あくまでも個人的な感想であり、よりよい教育への提言でもあります。守秘義務や中傷にならないよう配慮しているつもりです。 もし、問題になりそうな部分がありましたら、メールにてお知らせください。

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