ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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盛り上がった楽しいコンサートだった。六日の県立音楽堂のジュゼッペ・サッバティーニ(テノール)とオーケストラ・アンサンブル金沢との共演。これまで声楽物はあまり聴く機会がなく、ピアノ伴奏付きソプラノ・リサイタルは聴いたことがあるが、オケ伴付きテノール独唱会は初めて。 実は、その「初めて」というところが新鮮かもしれないと思ったことと、選曲が親しみやすく、仕事錯綜の折りの空気抜きにいいのではと、急遽、聴きに行ったのだが、大当たりであった。 次々歌われる歌劇からの曲やイタリア歌曲を聴いていると、当たり前なのだが、「歌物」であるということをひしひしと感じる。日頃、聴いているジャズは器楽的なメロディ・アプローチのものが多く、時に歌物が混じるといった程度。甘美なメロディが朗々と歌われ、オケの弦がそれをなぞるように艶やかな音で間奏をつける。初めての私は、まるで一昔前のイタリア映画の音楽を聴いているような気分になった。おそらくストイックなジャズファンなら甘ったるいと思うくらいの甘美さ。 サッバティーニは、声を張るところは張るが、力技ではなく、表情豊かに、時に力を抜いて囁くように、気持ちを入れながら歌っていく。歌のニュアンスの出し方の巧さは、言葉の意味が判らないながら、やはり上手いものだと感嘆した。その割に妙なシンコペもなく、すっきりとしている。 観客は曲が進むにつれ、名曲の調べと歌声の美しさの世界に引き込まれ、もっと聴きたくなる。我々夫婦共々、「歌謡曲の歌手の、豪華オケ伴付きリサイタルとなんの違いもないね、もっと堅苦しいものかと思っていたけど、親しみやすい。こんなに気持ちがよくなって楽しいものだと思わなかったね。」と話し合った。 演奏会は、時に独唱者が下がり、マルコ・ボエーミ指揮OEK単独で「セビリアの理髪師」序曲など親しい曲を入れていた。これも単調にならず楽しかったし、ボーミエ氏の指揮も明るく判りやすいもので、会場の楽しい雰囲気作りに寄与していた。演奏物では、歌劇「カバレリア・ルスティカーナ」間奏曲というのをはじめて聴いたが、美しい曲で印象に残った。 歌では、「カタリカタリ」が何と言っても演奏中の白眉と思った。思いが伝わる発声、曲もやはり大名曲である。アンコール鳴り止まず、何度も引っ張り出され、最後は定番「オーソレミオ」で締めくくった。観客は間奏毎に拍手を入れる程の大盛り上がりであった。 今、自分はいい歳の大人で、忙しさの合間、お金を出していい音楽を聴く。声楽がちょっと好きになって、それから夫婦でちょっとした外食をして、全部合わせるとちょっとした散財をして、でも、ちょっといい気分になって家へ帰ってくる。 学生時代、こんなコンサートに出会っていたら、どうだっただろう。私のその後の音楽趣味ももっと豊かになっていたかもしれない。でも、あの時は、クラシック・コンサートに使うお金なんかなかったし、出会ってもその良さに気付かなかったかもしれない。 どっちの時代がよいのやら。今日のようなちょっとしたリッチ感を味わう毎に、私は、いつも若い時のことを思い出す。
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