ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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八日(日)夜九時、何気なくつけたテレビ番組に釘付けになった。NHKスペシャル「失われた文明インカ・マヤ第2集ーマチュピチュ 天空に続く道ー」。 中学時代、サイモンとガーファンクルのヒット曲「コンドルは飛んでいく」の素朴なメロディに魅せられて、フォルクローレに興味を持ち、一枚だけだがお金を貯めてLPを買った。ポール・サイモン自身、南米音楽への関心を深め、ソロになった後もロス・インカスのメンバーをバックにつけたアルバム「ライブ・ライミン」を発表している。これも大愛聴盤になった。ポップスだロックだとまわりが熱をあげている中にあって、今から思うと、ちょっと変わった子だったかもしれない。 そうやって、南米に親近感を持ち、空中都市マチュピチュの美しさにも憧れてはいたが、それ以上、詳しいことは知らないまま大人になった。その後、繁栄していたインカ文明が、一五三二年、ピサロ率いるスペイン軍によって、あっけなく滅び去る詳しいいきさつを、民放テレビ番組で知ったが、一応、文系人間の矜持、昔から知っていたことにしようと思ったのを覚えている。我ながら実に姑息である(笑)。 それにしても、高校で南米の古い歴史を習った記憶が全然ないのは、あの時、寝ていたからだろうか。 閑話休題。 今日の番組を観て、あのころから思っていた漠然とした疑問がすべて氷解した。なぜ、あのように孤立的な山岳地に、王のいまそがる都市を築いたのか、そんな場所から、なぜ広大な国土を支配できたのか、そうした疑問が、次々説明されていった。 インカ道と呼ばれる道路網の整備が統一に不可欠だったこと。峻険な山肌に石積みのアンデネスなる段々畑を作って食糧を確保したこと。王は太陽神の御子とされ、太陽を観測することで農作物を植える時期を示し、権威を高めていったこと。力による奪取ではなく、民にあまねく与えることで信頼をかち得ていったことなど。 無文字社会を論ずる際、よく引き合いに出されるキープ(結縄)もこの文明の風習だったのだと、この番組で初めてつながった。画面に出てきた放射円状に飾られた実物の美しさに目を見張る。 CGで遺跡に茅葺きの屋根をのせて家並みを復元し、アニメで王の治世や生活ぶりを紹介していたのも判りやすく、映像技術の進歩の恩恵を感ずる。 神と生活が融和した高度かつ平和な文明。太陽に感謝しその恵みをいただく。地球に暮らす生命体として正しい行動をもっとも洗練された形で発展させた文明だったのだと思った。 以後の人間はその道を選ばず、自然を無視して人工技術を磨くことを文明と名付け、殺戮による統一への道を善しとした。この番組を見ながら、人間は「大航海時代」あたりから間違ってしまったのではないかという気がしてならなかった。 以前、どこにあるのか知らないままに行きたいと思っていたのがコルコバードの丘だという話を書いた。マチュピチュにも行きたいが、あんな山岳地帯、南米リゾート大都会行きの比ではなかろう。これもかなわぬ夢に終わりそうだが、せめてもと、遺跡全景写真をWEB上から探してきてコンピューターの壁紙にした。今はそれを毎日眺めている。
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