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ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。

 内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。

 

・XP終了に伴い、この日誌の更新ができなくなりました。この日誌の部分は、別のブログに移動します。アドレスは下記です。

 

エキサイトブログ 「金沢日和下駄〜ものぐさ〜」
           
http://hiyorigeta.exblog.jp/

 2009年11月29日
  人のために
 校内模試の小論担当になったので、以前読んだ神戸女学院大学教授内田樹氏による社会分析主体の教育論「下流志向」(講談社)から出題してみた。オリジナルで作ったので、どんな答えが出てくるかまったく予測がつかず、それなりに答案を楽しみにしていた。
 課題文は、「今の子供は、労働主体ではなく消費主体で社会関係に入ってく。その結果、金銭に関しては子供にもかかわらず大人と同等となり、子供は全能感を持ってしまう。その発想を教育の場に持ち込むみ、教育もひとつの「商品」と受け取って、有用性や価値を求めるようになる。その結果、この勉強にどんな意味があるのかという問いになっていく。また、取引である以上、自分は熟知しているかのように振るまうことで買い手の優位性を確保しようとする。」というのが要旨。質問では、この現状分析が正しいと思うかどうかを判断させ、その改善策を提示せよと条件をつけたのがちょっとしたミソである。
 作者は、該当箇所でははっきり言っていないが、有用性の問いに大人が答えること自体意味がないと考えている。だから、作者の意見に賛成している子が、「勉強の有用性を彼らに納得させるためには……」という前提で論じているものは、すでに子供の論理で論じていることになって不可なのであるが、そんな答えが多かった。「子供のお手伝い(労働)に、小遣いをあたえるとよい。これで労働主体となる」という趣旨のものもあったが、これも、結局は消費=経済論理の枠から出ておらず、残念でした。減点。
 また、矢張りというべきか、反対するにしろ、賛成するにしろ、作者が提出した考え方の枠内で論じているものばかりで、別の視点や新たな知見を加えることで、見方を広げている答えはほとんどなかった。まあ、それが出来ていればばっちり合格なので、これは何処も同じである。
 論作文は、自分なりのキーワードの設定が有効。子供たちの発想はあくまでも「個」としてのものだが、例えば、「日本人として」「社会として」「人類として」という観点から公教育を考えるべきという、ある種、別の基軸を入れることで、うまく説明ができるはずなのだが、そこまで言及できた答案はなかった。
 先日、宮沢賢治の「永訣の朝」をやっていて、「妹のトシ子が『こたにわりやのことばかりでくるしまなあよにうまれてくる』とあるが、では、誰のために生きたいと彼女は思っているのですか?」と聞いたら、兄とか家族とか、あくまでも個人の枠内での答えしか出てこず、ついぞ「人のために」という答えが出てこなかった。これが出ないと、最後の感動的な「人類の幸福に対する祈り」に昇華しない。今の時代、すべて「個」からの発想、「公」の発想が、全然、育っていないのをひしひしと感じたひとときだった。
 他に、前職場の生徒さんとの違いも強く感じた。前は、まったく形式的に綺麗で整っているだけで内容がないと業者からさんざん言われ続けていたのに対して、今の職場の子は、しっかり意見を書いてある者が多く、なかなか頼もしい反面、方向性がずれていたり言い過ぎがあったりして、各々の生徒さんの質や校風の違いが興味深かった。(今回はちょっと「小論文講評」風でした。)
[1] 

お願い

 この日記には教育についてのコメントが出てきます。時に辛口のことも多いのですが、これは、あくまでも個人的な感想であり、よりよい教育への提言でもあります。守秘義務や中傷にならないよう配慮しているつもりです。 もし、問題になりそうな部分がありましたら、メールにてお知らせください。

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