ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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書店で見つけて購入。日頃、雑誌のほうは読んでいないので、「文藝春秋」巻頭随筆史上もっとも長い連載となった「葭の髄から」が終わっていたのを知らなかった。高齢が理由だが、本人としては師の志賀の齢を超えたことで、任を終えたという気持ちがあるのだろう。ここのところ数年に一度続刊が出ていたので、そろそろ次のが出る頃だがなと思っていたところだったので非常に残念である。 九十歳近いご高齢ながら、頭脳明晰、文章に緩みがないのがすばらしい。話題も世俗広範に及び、老齢による撤退感がない。未だにそういう表現が日本語にあるのか、知らなかったというような言い方をさりげなく入れて、言葉の教養も強く感ずる。こちらは、感心し、目をとめて、辞書を繰る。一編一編に藝があって、これを書くのに、かなり時間を使っているのではと推察されたが、案の定、「遅筆自慢みたいになりますがね、随筆は一晩にせいぜい1枚から1枚半。書き上げるのに1週間かかっていました。」とインタビューに答えている記事を見つけて納得した。 ここに触れられている海軍関係者はもうほとんどが鬼籍に入られていることだろう。戦争末期、欧州に武官として滞在し、欧日間で対応に奔走した人たちの話は臨場感があって、興味深く読んだ。文章にも、生きているうちに埋もれさせないで公に周知させておきたいといった気持ちが強く出ている。 それでも、月日は残酷で、そうした話を珍重し、興味深く読む人たちは徐々に少なくなってきているではないだろうか。既に定まった評価として把握しているだけで充分ではないかという「過去の歴史的事項」的に読む時代になりつつある。前にも触れたが、子供の頃、我々の世代は、結構、戦闘機などの名を知っていたし、「丸」などという雑誌も読者が多くいた。今、そうしたことを知っているのは「マニア」という分類となる。 もうギリギリの阿川さん世代がいなくなったら、実感的に戦争を語れる人はいなくなる。こうして体験は歴史となって骨だけになる。それが世の習いとは思うけれども、多少の空虚さも感じて静かに悲しい。 楽しみにしていたエッセイがひとつなくなった。こちらも、一編一編、ゆっくり読んでいった。最後のほうを読むと、健康不順で時に粗相があったりするという。また、ほぼ外出なしの生活になっているご様子。穏やかな余生を過ごされんことを。
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