ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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加賀藩家老本多家の庭園として江戸初期に作られたという北陸放送敷地内の松風閣でのジャズコンサート「松風閣JAZZ NIGHT」を聴く。「金沢JAZZ STREET 2010」の関連イベント。 私企業の敷地ということで、この庭に入るのは何十年ぶり。屋敷に上がるのは初めてであった。木々に囲まれた池を背にしてステージを設え、聴衆は舞台前のパイプ椅子と開け放たれた松風閣の座敷から観る趣向。和のシチュエーションが珍しく、それもこれを聴きに行くことにした理由の一つ。アルコールや軽食も販売され、料亭主催の野外演奏会の趣き。カクテルを飲みながらゆったり楽しんだ。 バンドは五組。一部、地元篠崎アヤ(vo)のバックには正装のストリングスが四人入り、大型コンボとなっていた。生のジャズ演奏会で弦楽付きは珍しい。篠崎の歌い方はジャズ発声、全体的にジャズクラブの雰囲気が漂う。曲は映画音楽など有名ものを並べていた。 二部はマントラ風の男女混合コーラス。「アクエリアス」など。メインボーカルの女性はソウル・ゴスペル系の発声。 三部は韓国からの「WINTERPLAY(ウインタープレイ)」。女性ボーカル、ヘウォン(Haewon) は気張らないが、ノラジョーンズ風の色々な要素をうまく取り込んだ感じの歌い方で上手い。バックはギタリスト(Saza-Woojoon Choi)のカッテングがリズムをリードしていて、そこが音作りとして新鮮。ブルースもノリノリで聴かせる。間奏のソロアドリブはほとんどトランペット、ジュハン・リー(Juhan Lee)。マイケルの「ビリージーン」などアレンジが秀逸で楽しく聴かせる。さすがプロの演奏。 四部は、ジャズシーンで人気絶頂の平賀マリカ。案の定、「シング」など最新作カーペンターズカバー作からの曲が多かった。ラテン・ボサノバの名曲をカバーした前作CDを気に入っていたので選曲はちょっと残念だったが、それでも二曲ほど披露してくれた。アルバムジャケットしか知らないので、もっとお若い方かと思っていた……。 多くの聴衆はこのセットで去ったが、我々夫婦は最後までいた。五部はモダンコンボに小杉奈緒なる女性ボーカルをフューチャーしたセット。サウンド的にはクロスオーバー世代の私に一番しっくりくる種類のもので、歌手は今の日本の若い女性ボーカルに時々みられる弱いコブシを入れて歌う歌い方。声の線自体は細い。「蘇州夜曲」などというオールドソングも歌ったが、今風の発声は古風な曲に似合う。 今回、全てが女性ボーカル中心。同じポピュラー畑とはいえ、各々が依って立つ発声法の違いを感じて、そこが興味深かった。 雰囲気のよいコンサートだったが、屋敷内の和テーブル席の人たちは、設えが設えだけに徐々に宴会モードに入ってしまい、主役の平賀が登場する頃には、背を向けて話し込む人も出て、後ろのほうは音楽そっちのけだった。そのため、会場はざわついていてアーティストに対して失礼であった。たぶん、居酒屋のBGM感覚になってしまったのだろう。音楽会でのアルコールはほどほどに。
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