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ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。

 内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。

 

・XP終了に伴い、この日誌の更新ができなくなりました。この日誌の部分は、別のブログに移動します。アドレスは下記です。

 

エキサイトブログ 「金沢日和下駄〜ものぐさ〜」
           
http://hiyorigeta.exblog.jp/

  2010年09月11日 :: 瓢箪に油を塗って
 森鴎外「阿部一族」の一節に、切腹せぬことを揶揄る世間の声として「阿部の腹の皮は人と違うと見える。瓢箪に油あぶらでも塗って切ればいいのに」というのがある。どういう意味か同僚が首をひねるので、私も一緒に考えてみた。
 角川書店の「近代文学体系」のそこの注には「茶事談」の一節が引用されているが、どんな意味なのかは説明されておらず、これでは謎は解けない。
 調べると、瓢箪はつるつるしているものの代表のように言われていたらしい。その関係か、禅問答に、「瓢箪でナマズが捕れるか」というのもあるそうだ。答えは、「うまく取ろうとするなら、更に瓢箪に油を塗り、一層つるつるにすれば、つるつるのナマズは捕れる。」というものだそうである。目には目を、つるつるにはつるつるをという発想。実際はまったく逆だろうけれど、煙に巻くくらいの説得力はある。
 だから、ここの文意は、「切れないような腹なら、いっそ、瓢箪に油を塗って、尚更、つるつるにすればすっぱり切れるのに。」といった皮肉になる。塗る方が腹のほうなら単につるつるの意の比喩表現だし、刀なら、瓢箪を刀に見立て、「瓢箪のような全く切れもしないような丸いものでも、油でも塗って少しは切れるようにして、」という意味になる。どちらかはよく判らないが、禅画に瓢箪を両手で持ってナマズを捕ろうする絵があるそうな。
 それで、この問題は一件落着したのだが、調べる途中で気になったことがあった。ネットの質問コーナー「YAHOO 知恵袋」で、ここの部分を質問したものがあって、その答えに「追腹もできないのであれば、恩義ある身なのだからせめて瓢箪に油を塗って、艶腹に見立てて瓢箪を切ったらどうなんだといった嫌味です。」と書いてあったのである。
 これは明らかに間違い。この記述の直後に「命の惜しい男とはどうして見えようぞ。(中略)好いわ、そんなら此腹の皮を瓢箪に油を塗って切って見せう。」と本人が啖呵を切っているのだから、実際に切るといっている解釈でなければ意味が通らない。
 一番の問題は、この解答が「ベストアンサー」に選ばれていたこと。この認定は、読んだ人の投票や質問者がどの答えがいいと思ったかで選ばれるのであって「答えが正しい」と保証しているものではない。しかし、読んだ人は、ベストアンサーというお墨付きもあることだし、これが正しいと思ってしまう可能性が高い。
 今や何でもネットで調べる時代。こうした小さな誤りが発信元になって、以後そうだと定着していくおかしな事態が平気で起こりそうである。戦争に発展した大事も、もとはと言えば、間違った返答からといったことにならなければいいが。
 
 

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