ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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2006年03月13日 :: 「ブログ文学」を提唱する!! |
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広範囲に外出できなくなって、仕事後、インターネット三昧の日々を送るようになって、もう二年たつ。 お気に入りのサイトを覗くのが日課になった。カメラ好きが撮す愛娘のあどけない写真を掲載するサイト、愛犬自慢のサイト、金沢情報発信のサイトなど、それぞれ、特色を持って運営されている。テーマが決まっているほうが、漫然とその日の印象を綴っているところより、読み(見?)応えがあって楽しい。 写真だけがアップされているところもあるが、これは、奇麗だなとは思うけれど、ブログ作成者の気持ちが伝わらないし、反対に、妙に理屈っぽい文章が長々続いているところも、読む気が失せてダメである(え? この日記のことかだって?)。 絵心のあるイラストや写真に、ブログのテーマに沿った、作成者の人となりが感じられる生き生きとした日常報告が、適度な分量で載せられているところが、なんともいい感じである。 金沢在住初心者が、雪国生活での初めての経験を、素直な感動と共に紹介してあるサイトが、私は特にお気に入り。こちらが当たり前だと思っていたことが、そうした人には新鮮なことなんだと、発見を発見したりする。写真と文章がぴったりはまって、女性らしい視点と落ち着いた表現で書かれていて、上質のエッセイを日々届けてくれているような気にさせられる。 「ブログ本」というと、ブログで人気のサイトを書籍化することをさすが、こんなサイトを読んでいると、そうではなくて、「ブログ文学」というジャンルがそろそろ出来てもいいのではないかという気持ちになってくる。 このブログ文学、私が言っているのは、各プロバイダがやっている人気投票で上位にくるような面白タイプのものとは違う。そのウェブログ全体が鑑賞や評価に堪える上質の作品として、ということである。 旧来の分類としては、間違いなく「日記文学」の範疇である。そもそも、日記は我が国の伝統的文学形式。「○○日記」なんていうタイトルが古典には沢山ある。その流れを汲むものとして考えればよいのではないか。紙の文学と違うのは、電子上で公表され、万人が「即時」的に見るか、分量がある程度纏まってから綴じて、保存された「過去」の話として読むかという点である。 それに、文章だけでなく、絵(写真)や動画、背景やレイアウトといったビジュアル面でのコラボレーションも大事で、ある種の「総合芸術」として捉えられないだろうか。 先般、さくらももこの本のところでも感じたイラストと文とのいい感じの相乗効果は、今、読んでいる夏目房之介『孫が読む漱石』(実業之日本社)にも感じられて、今は、紙の上でも、そうしたスタイルのほうが、すっと読者の心に入ってくる。まあ、二人とも、漫画が本職(元職?)だから、そのあたりが巧いのは当然といえば当然なのだけれど……。 そして、この、絵と文章と両面からイメージを膨らませるやり方も、古くは「源氏物語絵巻」など、絵巻物として長い伝統がある。江戸時代に入ると、印刷術の発達によって、この手法は全盛を迎える。為永春水の「春色梅児誉美」あたりを引き合いに出すとよく判るが、多色刷りの美しい美人画の余白に筋をつけているといっていいほど絵が目立っていて、絵と文は見事なコラボレーションをしている。 (この場合、識字率の低かった時代なので、みんなこうしたテクニックで読者層を引っ張っていたという事情がある。ただ、ほとんどの人が草書体を読めなくなった今となっては、当時の無学層が楽しむようにしか、今の読者も楽しめないので、そうした意味で、これらの古典も、我々は実に正統的(?)な読み方をしているといえる。) こう考えると、ブログは、日本人にとって、昔から馴染んだ文学形式の変種にすぎないことが判る。そんなに目新しいことをしているわけではない。 この文章の冒頭タイトルで、「ブログ文学を!」なんて、声高に叫んでいるが、もちろん、強力に推進しようというのではない。「もはや、紙だけが文学ではありません。いずれ、そんな方向にいくのではないですか?」と予測しているだけである。 ちょっと、考えてもご覧なさい。もし、写真も文章も素晴らしいからといって、そのブログを書籍化したら、総カラー刷りになって、一体、一冊いくらかかるとお思いですか。紙に百パーセント再現できない以上、そこで定位させるしかないではありませんか。どう考えても、モニター画面上の優位は明らかです。
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お願い
この日記には教育についてのコメントが出てきます。時に辛口のことも多いのですが、これは、あくまでも個人的な感想であり、よりよい教育への提言でもあります。守秘義務や中傷にならないよう配慮しているつもりです。 もし、問題になりそうな部分がありましたら、メールにてお知らせください。
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