ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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怖ず怖ずと告白すると、私は英語がさっぱりである。ジャズが好きで、三十年間、英語の歌を毎日のように聴いているけれど、そんなのは、全然、実力向上に関係がない。 それに較べ、今の高校生の英語力は、我々の時に較べて格段の違い。そもそも高校入試のヒアリングからして、もうほとんど判らない。我々のころは、英語で「黒板に字を書く道具はなんというのですか」と聞かれて「chalk(チョーク)」と書けばいい程度だった。 今でも自分が受けた入試のヒアリングで覚えているのは、「地下を走る電車をなんというのか」という質問。サブウエイという単語が出てこなくて、ウンウン唸って「ジ・アンダーグランデット・トレイン」(地下化された電車)と書いた。edをつけると「〜化した」という意味になるということを、中学時代に既に知っていたわけで、自分では名(迷?)解答だと思うけれど、あれ、マルにしてくれただろうか。正答書いて、すっと通り過ぎっていった人より、奮闘努力の跡がにじみ出ていて、我ながらエライ!と思っているのだが、もちろん、誰も褒めてくれない……。
そんなレベルの私にとって、最近の民放FMは、英語のヒアリング力のある人だけに放送をしているよう気がして、正直、イヤである。どことなく除け者意識が湧いてくる。 例えば、番組冒頭の口上が英語のものがかなりある。「どこどこプレゼンツ、なになにがなになにでなんとやら。」としゃべっている。この番組は、○○会社の提供で、どんな内容か、概要を説明しているのだろうということはわかるのだが、意味はさっぱり判らず、ただただ、その一分ほどは空白となる。 いつも聞く朝の番組でも、女性キャスターが、外人さんにインタビューしていて、時折、格好良く、アハーなんて合いの手いれて、その挙げ句、日本語でほんの一言の翻訳しか言わないことが多い。あんなに長く外人さんが喋っているのに、たったそれだけ? そんなわけはないでしょうと、置いてきぼりを喰わされる。 この前も、ビートルズで有名なアップルレコードがアップルコンピューター相手に起こした訴訟に敗訴したというニュースを読んでいた。その後、彼女は、英国新聞のコメントを紹介しますと、ペラペラと英語で読んで、「面白いですね。」の一言で終わってしまった。一切翻訳なし。何が面白いのか、こっちは、さっぱり判らない。 どうも、「なんとかかんとか、ロング・アンド・ワインディング・ロード。」と言ったような気がするので、アップルレコード社の苦境を、ビートルズのヒット曲になぞらえたのだろうと推測した。長く曲がりくねった路。 ホント、日本の放送聴くだけでも一苦労である。
夫婦の会話は、そこから、このワインデングという単語の話になった。今でこそ、車雑誌などで、「この車のワインデング走行性能は〜」などと平気で使われるようになったが、私たちが英語を習い始めた頃は、決して馴染みのある言葉ではなかった。妻は、この有名な曲を、ワイドのアイエヌジー形だと思ったそうで、長い幅広のまっすぐ道だと思っていたという(それじゃ、まったく逆だ。) でも、人のことは言えない。私は私で、「ワイン」という言葉から、ワイン色と解釈し、勝手に、長い黄昏道だと思っていた。濃い茜色の空がどこまでも続く高速道路。ちょっとアーバンで、雰囲気いいじゃないですか。 この言葉が、ワインドのアイエヌジー形であることに気づいたのは、結構、後年のことである。ワインドが曲がったという意味であることは前から知っていたのに、全然、結びつかなかった。 私の場合、なんでイメージが間違ったかは判っている。あの曲が流行って五年ほど後に、エルトン・ジョンの「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」が大ヒットして、二つのイメージが被ってしまったのである。さらば、黄昏の煉瓦路。 そこで、次に、このワインデングは舗装路かデコボコ道かということが問題になった。愚妻はデコボコだと言い張る。職場には外人語学教師(ALT)がいる。職場についてすぐに、どんなイメージなのか訊いてみた。 彼が言うには。舗装未舗装は特に問わないが、フォレストとかカントリーにあるロードのイメージだそうで、ライフにあてはめると、ディフィカルト(difficult)なイメージで使うという(これ、聞き取れた英単語をつなげただけです)。どうも、英紙は、きわめてオーソドックスな洒落を言ったようだ。 お互い英語ダメだったねえと、朝の夫婦の会話は、同病相憐れむの図だったが、まあ、これは「兎美味しいかの山」のたぐいである。
さて、文部科学省が小学校の英語教育必修を打ち出した。早ければ二年後からの実施で、ここ金沢は、モデル地区ということで、もう導入済みである。 おそらく、ヒヤリング力のある日本人は確実に増える。あと二十年もしたら、放送の半分近くが英語になっているのではないか。簡単なインタビューくらいなら、もう翻訳しないでそのままが当たり前の世の中に。 その時の年寄りは、今から戦々兢々である。 けれど、先週の放送で、外国のポピュラー音楽(オールデイズ)に滅法詳しいあの山下達郎でさえ、この教育改革に苦言を呈し、子供の頃にはしっかりした日本語、特に「思想語」の涵養が重要と、さらりと言っていたのには、我が意を得たりであった。どんなに日常会話ができても、抽象概念を操れないと大した人物にはなれない。 今までの英語教育、あれだけ時間を割いたのに、ほどんどの人が喋れなくて、多くの日本人はコンプレックスの塊である。だから、その是正を目的にした制度なのだといえば聞こえはいいが、学校教育の改革とは、結局、コマ数の取り合いである。何かコマを新たに入れたら、入れた分、どこかの教科が減らされる。どこが削られるのか。おおよその見当はつく。 この意見、理系の愚妻ともども我が家の統一見解なのだが、なにせ、英語ダメダメの二人、全然、説得力がない。
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