ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
・XP終了に伴い、この日誌の更新ができなくなりました。この日誌の部分は、別のブログに移動します。アドレスは下記です。
エキサイトブログ 「金沢日和下駄〜ものぐさ〜」 http://hiyorigeta.exblog.jp/
ビジュアル系の永井荷風紹介本を二冊読んだ。 『図説 永井荷風』(河出書房新社)は、写真や図版をふんだんに使って永井荷風の人となりを紹介した文学アルバム。江戸東京博物館で開催された荷風展(一九九九年)をきっかけにして、六年後の昨年上梓されたもの。 同種のものでは、「新潮文学アルバム」中の一冊『永井荷風』(新潮社)がある。二十年以上前の出版ながら、今でもカタログに残るロングセラーシリーズで、コンパクトなハンディタイプの好企画。だが、ほとんど白黒写真でビュジュアル的に古くなっていたことは否めない。 それに対して、こちらはカラー刷りで判型も大きく、今ではこちらを薦めるべきだろう。説明もこちらの方が詳細で楽しめる。 川本三郎は、冒頭、序章で東京散歩の達人としての荷風を強調し、担当する後半生でも、その視点で人間荷風をわかりやすく描く。ところが、共著者で前半生を担当した江戸東京博物館学芸員湯川説子は、「日和下駄」「江戸芸術論」など、この種のビジュアル系本にしては異例なほど内容を詳細に論じていて、作品論的アプローチが目立つ。表現も論文的である。代表作を書いた時期を湯川、全盛期を過ぎた時期を川本が担当したため、それはしかたがないという面もあるが、多少の不統一感が残った。 また、湯川は、イデスとの情交を「愛欲にまみれた感傷」で「荷風の煩悶は、恋か芸術かではなく、いかにイデスと別れるか(中略)ということのみであった」と、ちょっと突き放したような評価を書き加えているが、川本の文章は終始暖かい。荷風の恋愛に対する男と女の受け取り方の相違が出ているわけだが、これも、一冊の本として、ちょっと不統一なように感じた。(つづく)
|
|
お願い
この日記には教育についてのコメントが出てきます。時に辛口のことも多いのですが、これは、あくまでも個人的な感想であり、よりよい教育への提言でもあります。守秘義務や中傷にならないよう配慮しているつもりです。 もし、問題になりそうな部分がありましたら、メールにてお知らせください。
感想をお寄せください。この「ものぐさ」のフォームは、コメントやトラックバックがあるブログ形式を採っておりません。ご面倒でも、左の運営者紹介BOXにあるアドレスを利用下さい。
(マイノートパソコンと今は無き時計 2005.6 リコー キャプリオGX8)
|