ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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お漬け物は出来合いを買ってくることが多い。家で漬けることがあっても、本格的なものでなく、浅漬けの素で野菜を浸す程度。 昔、実家では、しっかり糠床で漬け物を漬けていた。父は茄子漬けが大好きで、夏は毎日「茄子はないか」とリクエストしていた。かき混ぜが足りなかったりして、蛆が湧いたなんていう話を子供心に聞くとおぞましく、私はお漬け物は全然好きではなかった。美味しいお漬け物は本当に美味しいと気がついたのは大人になってから。 今夏、思い立って、胡瓜に素の液をかけた上に、茗荷・紫蘇のみじん切り、生姜を一擂(す)り載せた。それを冷蔵庫で寝かせて冷たくしていただくと美味なこと、この上なかった。夏らしい一品。 すべてスーパーで購入したが、茗荷は一つ五十円、紫蘇も葉っぱ一枚十円する。昔、家の庭にそれらがなっていて、ご飯の前に、よく摘んでこいと命令されたものだ。子供だったので、香味が強く、どちらも食べるのは好きではなかったが、摘むのは好きだった。そんな、なっているが当たり前、摘んでくるだけだった野菜に、今、それなりのお金を出して買ってきて食べているのだから、この世は皮肉なものである。こんな美味しい味が嫌いだったなんて、子供の味覚なんていうものは、なんて情けないものか。しかし、その頃の大人は、そうした自家製野菜を毎日のように食べていたのだから、なんて贅沢だったのだろうと、今になって思わずにはいられない。 他に、家でなっていた薬味に山椒があった。これはすまし汁によく入れていた。前庭にはお茶の木。その世話係は祖母。新葉を摘み取り、よく揉んで天日干し、埋もれ火の火鉢の上に段ボールを載せて、焦げないように揉み転がして乾かした。ちょっとは子供もお手伝いしたものだ。 果物は、柿、無花果、茱萸(ぐみ)があった。時期になると有り余る程の収穫となり、それだから、尚更、熱心に食べなかった記憶がある。 夏には、食べ残しのスイカの皮を処理して、スイカの浅漬けを漬けていた。よく食卓の真ん中にどんと置かれていたが、これも、私は残飯処理みたいで、全然、好きではなかった。本当に子供はお大尽で我が儘である。 最近は、そんなヘタ利用の漬け物が麗々しくエコロジー料理として雑誌の記事に出てくる。白いところも食べられることを知らない世代のほうが多くなってきたからだろう。 それなら、私は、もう一品、よく祖母が作ってくれたエコお菓子を紹介したい。それは、蜜柑の皮を使った砂糖菓子。 皮の内側のスジなどを丹念に取り、細切りにし、甘く煮詰めて、ザラメ砂糖にまぶす。細長い砂糖付きゼリーのような形、味はマーマレードのようなもの。これも生活の知恵から出た皮利用のエコ食べ物だが、もう何十年と食べたことがない。確か、皮なのでちょっと苦みが残って、甘い御菓子だけど、これも大好きという訳ではなかった。大人の今なら、その苦みを楽しめただろうに……。 捨てるもの利用のお菜やお菓子はおそらく他にも色々あったろう。しかし、どれも時間と手間がかかるので、徐々に消えていった。核家族で家に手間暇をかけ得る人自体が消えていったことも大きな理由に違いない。 今年だからこそ思い出した懐かしい思い出。
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