ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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文筆業の人は依然としてワープロ専用機を使う人が多い。パソコンより特化しているから扱いやすいのである。「文豪」とか「書院」とか、昔は各社競って出ていたが、今は一機種も製造されていない。井上ひさしもその一人で、随筆「ふふふふ」(講談社)の一編「中古品一台につき二十万円也」に、高額出して修理する話が書いてあった。 先日、テレビで、そのワープロを直す工房が儲かっているというのを放映していた(井上さんはこの会社に頼んだのかしらんと思って見ていた)、なんでも、メーカーが製造を中止した時、こうなることを見越して残っている部品を大量買い付けしたという。なんと賢い! 井上は、製造中止したらもう直さないのが当たり前という日本のメーカーの態度を怒っている。ヨーロッパのメーカーはちゃんとしていると。私もまったくそう思う。日本の消費者も飼い慣らされて、仕方がないと諦めてしまっているところがある。 実は、最近、愚妻所有の筆記具が壊れたのだが、修理に出せず困っている。安物だと捨てればいいし、万年筆など高額な高級品は修理に出せばいい、中途半端な値段(万はいかないが何千円はするレベル)のものは、壊れると後が困る。捨てるに捨てられない。 それに、以前にも書いたが、メーカーによる温度差も大きい。 シャーペンのノック部の帽子など無くしやすい部品をリーズナブルにネットで販売していて親切なのはゼブラ。HPも判りやすいところにそのコーナーがあって安心。 パイロットはもともと万年筆など高級品を扱っているので、HPに修理受付のコーナーがひらかれている。小売店での見積もりもちゃんとしている。 ダメなのは三◇鉛筆。ちょっとした部品を抜き差しするだけでも修理扱い、お預かりになってしまう。私がそれで右往左往した顛末は以前書いた(二〇一〇年七月十日、ピュアモルト・シャープペンシル定価五千円)。あの時、私が聞いた店の方も、この会社の修理はねえ……と言葉を濁していたし、最近読んだ文具販売がご職業の方のブログにも、法外な修理費になるから注意しなさいとはっきり書いてあった。こちらとしては、「やっぱり」といった気持ちだった。誰が考えたって不評。改善してほしいのだ。 さて、今回壊れたのもこの会社の同シリーズ。多機能ペンのシャープペンシル部(三千円)。落下させてしまい、虫眼鏡でみてようやく判る程度に微妙に先が潰れ、芯がでなくなった。多機能ペンだからメカ部はすっと抜けるので、その部品だけこちらにまわしてくれるといいだけなのだが、修理扱いになって、新しいのを買う方がよくなってしまう。結局、捨てるか、シャープ部がない二色ボールペンとして使うかしかない。クルトガやジェットストリームなどヒットを連発している会社だが、考えてみれば、壊れたら修理をして使うような高級筆記具を作っていない。もともとは削って無くなる鉛筆屋さん。自社製品は消費財意識なのだろう。それなら、中途半端な高級品など作ってはいけないと文句のひとつも言いたくなるというものだ。 井上が嘆いているように、日本の「物づくり」(メンテナンス体制もこの言葉に含まれるはず)は、本当に成熟していない。 (文中でも触れたが、昨年七月十日の記事の内容とかなり重複しています。)
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