ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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古くからある文具会社、昭和文具は、頑固な社長の「昭和」的な経営でやってきたが、後継に息子がつくことになり、時代にマッチした合理主義経営を目指し始める。多くの社員は如才なく新社長の方針に靡いていくが、旧社長お気に入りの主人公九ちゃんは馴染めずに苦悩する。つまり、モチーフのひとつはトップ世代交代の際のサラリーマンの生き方模様。 もうひとつは、現代の企業経営において、合理主義こそ金科玉条、鉄則なのかというモチーフ。顧客や地域住民を大切にし、本社グランドで運動会などの季節の行事を開催するような、一見無駄とも思える人との交流の中で会社を存続させる昭和的な経営方針はもう時代遅れなのか。実は、今こそそれが正しい在り方なのではないか。 三つ目は、九ちゃんが頑固社長の葬儀で言う「いいものは残してもいいじゃないか。何もかも壊して新しくすることないじゃないか。」という台詞に代表されるような、変化こそ前進だとする進歩主義に対するアンチテーゼ。 話は「昭和は良かった」という後ろ向きのノスタルジー色もあって、昭和生まれの私自身にしてからが、そんなに昭和って良かったかしらん? と多少の疑問も沸く。何か年寄りに媚びているような……。 九ちゃんは、当初、オバQのようにツルツル坊主というところ付いた渾名だと説明されていたが、同じく最後の葬儀のシーンで、憲法第九条の「九」だということが明かされる。つまり、「いいもの」だから「残してもいいじゃないか」と言うのである。ここに来て、珍妙なタイトルの訳が判ったが、それを言いたくて、昭和の人情経営を持ち上げていたのだとしたら、これまでの流れが台無しである。作った人の勝手な思い込みのせいで、せっかくのお話の完成度を自ら壊してしまう、ありがちな陥穽である。 財産目当てと批難された社長の後妻が、実は籍を入れていないと最後に明かす。昔の女の心意気が表出する決めの場面である。しかし、旦那の社長は頑固ばかりで彼女と心を通わすシーンが事前に振られていないので、本当に好き合っていたのかしらと、ちょっとついていきかねた。 同様に、新社長はあまりに杓子定規な人物造型でクールすぎ。後半、ちらっと人情を見せるのだが、これもそのため効いていない。 ちょっとの手直しでいい話になったのに……。惜しい。 それで、もし、直すのなら、せっかく我々に身近な文具のメーカーなのだから、もうちょっと製品の幾つかがお話に絡んでもよかったのではなかったですかね。(2011/12/19)
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