ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2006年05月07日 :: 春風駘蕩 |
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今年は、四月にしては寒い日が続き、いつまでたってもストーブを片付けることが出来ず、金沢が北国であることを改めて実感するような毎日だった。 我が家は、暖房をすべて電気に依存しているので、電気代がそのまま、その月の寒さをはかるバロメーターになる。親切なことに、伝票には去年の使用量が載っていて、それを見ると、二月の使用量は去年より少なく、四月は逆に多かった。春らしい日が続くようになったのは五月に入ってからである。
表題の四字熟語「春風駘蕩」は、勤務校の四月の図書便りに載っていた巻頭のことば。 蛇足の解説をすると、「駘」は、もともと鈍い馬。愚かでおっとりしていること、怠(タイ)と同系と辞書にある。「蕩」は、もともと揺れ動く木。ゆらゆら広く行き渡るさま。 春の長閑なさまをいうのはご存じの通りだが、転じて、人の性格にも言うらしい。のんびりとした人に使うそうだ。 春の詩で一番好きなのは次の有名な七言絶句である。何度も授業で教えていて、好きになった。
江南春 杜牧 江南の春 杜牧 千里鶯啼拷f紅 千里鶯啼ないて緑紅に映ず 水村山郭酒旗風 水村山郭酒旗の風 南朝四百八十寺 南朝四百八十寺(しひゃくはっしんじ) 多少樓臺烟雨中 多少の楼台煙雨の中
大きな景色としては、転句結句がいかにも暖かい地方の春らしくていいのだが、もうひとつ、その前の承句で、居酒屋さんの旗を持ってくるセンスがいいなあと思っている。承句には人間の生活がほの見える。それがあるから他が生きている。 実際はどんな旗だったのだろう。この頃、お酒を出すお店の目印は青い旗だったらしい。「酒」なんて一字でっかく書いてあったのだろうか。だとしたら、今、夏に翻ってるかき氷ありますの旗、「氷」と一字書いてあるやつに限りなく近い。 「酒あります。」 杜牧は都に向けて移動中のようだから、旗は遠くに見えるだけで、実際はこの時飲まなかっただろう。 前半の緑紅青の原色系の色合いの田舎の風景と、後半、朧化して淡い色調にとけ込ませる古都の風景の対比も見事だ。 洒脱なセンスと懐旧の情が感じられる、いかにも国政紊乱(ぶんらん)し文化が飽和した晩唐の香りを放つ詩人の作である。 ちょっと興味が湧いて、さっきネットで杜牧の詩の解説本を注文したので、いずれ感想文が掲載される予定である(?) 今日の日記、今頃になって春話題かと思われそうだが、ここ北陸はそんな歳時記である。 さあ、ヒーターを片付けよう。この連休の陽気で、ようやく決心がついた。
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