ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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荒川洋治『世に出ないことば』(みすず書房)を読んだ。何か滋味あるエッセイはないかと、昨年九月、ライブハウスに行ったみぎり、時間調整で入った地元資本の書店で見つけたもの。値段を確認せずレジに行き、金額を言われてびっくりした。たいした厚さもないのに、二五〇〇円を超える。 そういえば、去年、『前田愛対話編』(みすず書房)が出た。勝手に『前田愛著作集』(筑摩書房)と同じ版型だと思いこんでいたが、書店で実物を見て、教科書くらいの小ささだったのに驚いた。それで上下二冊一万円近い。いっぺんで食指が止まってしまった。どちらの本も、同じ出版社である。良書の出版で定評がある会社だが、WEBでカタログを見ると、どれもお高い。今や、この著者だったら、何人の読者がついていて、高いお金払うのを厭わず買ってくれると計算して本は出すそうだが、そんな匂いがちょっと強めである。 そういえば、去年、買い直した末延芳晴『荷風のあめりか』(平凡社ライブラリー)も、文庫なのに千六百円(税別)だった。違う会社だが、文庫本でこの値段はちょっと……。 もちろん、著者を責めているのではない。単なる貧乏人の愚痴である。 さて、この本の著者の荒川は、朝のラジオ番組でよくお声を聞く現代詩人。朴訥なご性格に飄々としたユーモアが漂う方である。一度お書きになったものを読んでみようと思ったのが購入動機。 内容は本を巡るエッセイ。文才は充分垣間見ることができたが、読んだことがない本の話が多く、ちょっとピンとこなかったというのが正直なところ。同じ装幀の別のエッセイ集があったので、そちらを先に読めばよかったのかもしれない。途中で放り出していたので、読了が今日になった。 もう一冊、別役実『左見右見』(大修館書店)も、去年、読みかけたまま放置していた本。タイトルは「とみこうみ」と読む。あちらを見たりこちらを見たりの意味。「広辞苑」では、「と見こう見」で載る。タイトル通り、四字熟語をネタにしたエッセイ集である。 有名な劇作家であるが、私は、それより、以前、教科書にのっていて、定番教材にしている「迷う犬」という短エッセイの作者として親しい。大都会では、変に方向感覚を信ずると迷う。与えられた看板だけを信じた方がよほど早く目的地につくという話で、これは東京生活で嫌というほど経験したのでよく判る話だと、教科書が替わってもずっと授業で扱っている。 そういった意味もあって、期待して読み進めたのだが、四字熟語をからませるという括りが、どうも話の展開を不自由にしてしまっているような印象で、思ったより面白くなかったというのが正直なところ。これも、立ち読みでパラパラと見ただけの『ことわざ悪魔の辞典』(ちくま文庫) のほうが面白かったのかもしれない。 両冊とも駄作ではない。滋味もあるが、感嘆措くあたわずとはならなかった。
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