ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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東京時代、毎日のように興味深い講演会がどこかで開かれていて、さすがに大都会と思ったものだ。 今でもよく覚えているのは、尾崎一雄さん。『暢気眼鏡』で知られる作家。池袋の西武美術館で「志賀直哉展」があって、その記念講演会として彼が師の思い出話を話された。 ビル上階、集会室といったようなこじんまりとした会場で、志賀直哉が卒論だった友人と二人で正面最前列に陣取った。ほんの一メートル先で彼がしゃべっている。御高齢で、こうした人混みの中に出ること自体、もうあまりなさらないようだったが、師匠志賀さんの特別展である、自分が行かなきゃ誰が行くと思ってこられたのだという。 志賀さんのお弟子さんは、皆、師匠を心から敬愛している人ばかり。最初、ぼそぼそと話されていたが、徐々に色々と思い出されたらしく、お話が滑らかになって、懐かしげだった。本当にお付き合いが楽しかったことが言葉の端々に伝わってきた。失礼ながら、時々、にこっと笑った顔が子供のように可愛らしい。小柄な体格で、小さなお顔がすこしずつ紅潮していくのが前列からよく判った。 お話が終わり、演台にまだいらっしゃる時、無粋にも、前に駆け寄り本を突き出してサインを求めた若者がいた。尾崎さんのお顔がさっと厳しくなったのが見てとれたが、我慢されたのだろう、求めに応じてサインされていた。せっかくいい気分でお話されていたのに、御気分を害されたのではないかとちょっと心配になったことを覚えている。 この時お話されたエピソードの幾つかは、『志賀直哉』(岩波書店)で読むことができる。 尾崎さんはそれから程なくして亡くなられた。今でも彼のお名前を見つけると、この時のことを思い出す。
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