ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2005年02月01日 :: 「とりつく暇もない」? 誤用から考えたこと |
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前に触れた高校1年生向けお楽しみ日本語テストは、まあ、予想通り(?)惨憺たる結果であった。誤答をパラパラ見ていて、つまりはこういうことなのだなということが少しわかる。発音における対応する言葉(漢字)が一つしかないのだ。「ユウシュウの美を飾る」は、「優秀」という漢字が最もポピュラーだからそれを書く。「袖すり合うもタショウの縁」も、勿論、「多少」。配偶者は、化学で「気体・液体・コタイ」を「個体」と書く生徒が急増していると言っていた。「何で人偏がつくのや。固体は、<人>やないよ。」といつもいうのだそうだが、この言い方は、実に国語的に正しい説明である。この、対応が一個だけ、漢字の区別、使い分けがないのが、第一のパターン。 また、案の定、「辛党」は全滅。全員、「辛い物好き」という予想された答え。これは、第二、字そのままの意味で受け取って、深く考えないパターンである。「反対語は甘党、甘い物好きのことだよ」とヒントを言った段階で、「辛い物好き」では簡単すぎると思わないのだろうか。この種の、字そのまま理解して使う代表的な例は、「水菓子」。ドラックストアの夏のチラシで、水羊羹、ゼリー類を「水菓子」と括ってあって、呆れた。一回ではない、ここ数年ずっとそれできている。改善なし。よほど、この会社に投書しようかと思ったくらいである。水菓子とは、勿論、果物のこと。水っぽいお菓子ではさらさらない。 あるテレビのアナウンサーが、プールにはいった人に、「入水の気分は?」と聞いていて驚いたと、先日読んだ新聞に書いてあった。「水に入った」を、漢語的にかっこつけていっただけだろうけれど、「ジュスイ」には、身を投げるという意味がある。これも字のまま、そこに含まれるニュアンスを全く配慮していない例。 第三。似た発音を頭の中で、勝手に分かりやすい言い方に換えて理解する場合。代表例。「お前はダメだと印籠を渡す」???。インロウ、インドウ。発音自体違っているけど、そのあたりは音だけで聞いて、いい加減にイメージを作ってしまうのだろう。水戸黄門の見過ぎかも? 同様例、「とりつく暇もない」。 第四。似た成句が混用される場合。代表的誤用、「相槌を入れる」。これは「相槌を打つ」と「合いの手を入れる」の混用。 生徒のテスト結果を見ながら、この四つのパターンはすぐ気がついた。こんな分析は、おそらく国語学の方で、もっと詳細になされているだろう。こうした知識の欠落現象、「言語が意味の伝達手段のみ認識されてきた結果だ」「日本語を愛する心の欠如だ」とか、色々な言い方が可能だろうと思う。 しかし、では、どうすればいいか。先日、小学校の漢字力がひどく低下したとの調査結果(国内規模)が公表されていた(NHKのTVニュースで知った)。翌日のラジオ(FM石川)で、このことの解説があった。その解説者は、熱心にルビの効用を説いていた。あれで漢字の読みは覚えるものだと。まずは足下から。抜本的ではないかもしれないが、「前から私も思っていた、賛成だ」と思いながら聞いた。 と、ここまでは、実は1月29日昼に書いておいたもの。ところが、その夜、民放のTVのスペシャル番組で、日本語のこの手のクイズ番組をやっていて、辞書で有名な北原保雄が解説で出ていた。ここに載せた問題もそっくりやっていて驚いたB確かに、「日本語クイズ」には定番があるのだ。番組は冒頭、OECD調査(世界規模)で、日本の学生は世界一位から滑り落ち、特に国語力が低下したという例の話題を枕にしていた。その頃(12月)にこの番組は企画されたのだろう。それにしても、「日本語ドリル485」(角川文庫)とあまりに同じ。前にも書いたけど、その時読んだり思っていたことが、まるでデジャブーかのように放送などにかかるということが本当によくある。こっちのアンテナも視野は狭いけれど、一応は社会情勢で動き、放送は、勿論、広く浅く社会を見据えて動いているから、結局、如何にも偶然にシンクロしているかのように見えるだけなのだが、人の感覚としては驚くのである。
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