ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2005年02月03日 :: 電子辞書の中の「国語辞典」電子版「広辞苑」(岩波書店) |
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電子辞書を本当に引いている。引かない日はない。今日も数回引いていて、多いときには二十回近く引くときもある。肌身離さず状態一歩手前である。多くの人は、漢字忘れの時に引くのだろう。しかし、商売柄、こちらは、厳密な意味・ニュアンスの違いなどを知りたいときに引くことが多い。どことなくわかっているのだが、正確にはどう説明すればいいのかを知りたいと思うときに使う。生徒に「この言葉はね」と、かみ砕いていうのだが、調べなしだと、どうも微妙にニュアンスが違うなと思うときがある。そんな時、出番である。電子辞書の最大の利点は<ジャンプ>である。ある言葉を国語辞典でくって、すぐに漢和辞典に移行でき、複合的に理解できる。二回引く手間を考えると、便利な機械であると実感する。 不便な点は、カスタマイズできないこと。辞書に書き込む感じができない。ラインを引いてクシャクシャにし、その中で覚えていくといったアナログの努力が辞書に反映されない。いつまでも綺麗なまま。これは、初めて覚える人にとっては大きな問題だ。 生徒には、受験生になったら、能率が求められている部分もあるので、長所・短所を知った上で買いたければ買えばいいが、高校1年の初期には不向きであると言っている。どうやら、これは、英語の先生方も同様の意見のようで、我が勤務校では、英・国とも、入学者の辞書推薦で、電子辞書は推薦されていない。 ところで、今、使用している電子辞書は二台目である。一台目は今は、配偶者の所にある。両方とも、高校生の学習用と銘打たれているもので、値段は二万円程度。山ほど辞書が入っている高価な多機能モデルではない。商売柄、ほとんど使わない生活関連事典があるより、シンプルなほうがいいのである。特に、古語辞典が階層の下の方にあるものは、呼び出すだけで時間がかかる。単独ボタンになっていて、一発で古語辞典に行きつくモデルであることが第一条件だった。一台目の国語辞典は通常よく売られているポピュラーな国語辞書、二台目は岩波の「広辞苑」である。こっちの方が項目が沢山あっていいと思って買い直したのだが、電子版「広辞苑」を毎日せっせと引くようになって、不満は増大していった。確かに項目的には比べものにならないほど増えている。しかし、項目を稼いだ分、一つ一つの説明が短く、言葉足らずのことが多い。前の辞書の方が、項目としてあがっているものについては丁寧だった部分もあり、何でも「広辞苑」がベストというわけでもないことを実感した。もちろん、新解さんを楽しむ的な楽しみ方など全然できないので、実利的で、正直、つまらない。 近年は、職場の机上では、ノートパソコンが常時開いているので、インターネットの「検索」が事典的な意味調べの大事なツールになっている。何でも、まずキーワード入れてみるところからスタートするようなところが最近はあって、この前は、授業で説明をしなければならなくなった「脳死と植物人間状態の違い」について調べたが、医療の学会のサイトに判りやすくでていて、その便利さを痛感した。専門の業界であるからして、本当に正しいのかなという不安もない。今はこのノートパソコンと電子辞書の2つの電気製品で国語科教員商売しているようなところがあって、電子ツールさまさまである。 という訳で、私は電子辞書については、アレルギーはない。うまく付き合えばよいという考え方である。電子辞書によって、なんといっても、私自身、苦もなく調べる態度が身についたとも言えるので、変な原理主義にこだわるよりよっぽどよいと考えている。 理想の電子辞書。それは自由に辞書を選べるカスタマイズができること。他に、調べた単語はその回数がでたり、どの意味で調べたのかその説明を赤で反転できたりすると、ラインを引くのと同じになって、アナログ感が増す。自分用の便利な辞書という愛着もでてくるだろう。 この手の辞書、もうとっくにできていてもいいような気がするのだが、そうすると、バリエーションモデルで商売している今の売り方ができなくなるので、商売上、できない顔をしているだけだという噂が、実はかなり前からどこからともなく聞こえてくるのだが……。どうなんですか、カシオさん。
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