ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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入院して数日目、ベッドでぼんやりしてたら、館内放送が入った。 「ただ今より会議を始めますので、関係の先生方は会議室にご参集下さい。」 ああ、行かなきゃと思って、体を少し起こしてから、あれっと思う。私は、ここでは、「先生」ではなくて「患者さん」だ。職場でよく耳にする親しいフレーズの放送なので、一瞬、勘違いしたのである。 その時、ああ、私は、今、学校でいうと「生徒」の立場なのだなと悟った。そこで、生徒の立場から、先生がいっぱいいるこの組織を眺めてやろうと思ったのである。一種の教員の企業研修。 入棟の最初に、看護師より、職業を中心とした生活一般を聞かれる。それが、患者別ファイルに書かれる。患者さんと付き合う時、これまでどういうことをして、どういう性格で、どういう価値観の持ち主かを押さえることは、大事なことである。ファイルの始めのほうの欄には、どういう態度で接すれば有効かも書かれてようだ。 ある時、患者さんが「その書類なに書いてあるの? この患者は要注意人物なんて書いてあるんやろ。」と質問した。看護師さんは、「そんなあからさまには書いてないけど……、その人のこと色々とね。」と誤魔化していた。 「やっぱ、悪口書いてあるんやな。」 茶化されていたけど、おそらく当たらずとも遠からずである。 看護師は交代制で、どんどん業務がバトンタッチされていく。しかし、患者からどんな依頼があったか、愁訴があったかなど、実にしっかり伝わっている。 ある女性の患者さんによると、娘が今日結納だったと親しい看護師にチラリと漏らしただけなのに、以後、一巡するまで、延々とおめでとうを言われ続けたという。きっと、そのことをファイルに書かれてしまったのである。本当に雑談で漏らした小事までも書いてあるようで、何で貴方がそんなことまで知っているの?という感じになる。 つまりは、ケースカンファレンスが実にしっかりしているということだろう。 振り返って、我々、教員。1限目にそのクラスで起こったことを、2限目の先生は全然知らない。全体を把握しているのはクラス担任だが、その担任さえ、クラス朝礼(ST)と授業のコマ、週に数時間だけである。どんな生徒がいるのか、担任は比較的早く把握するが、授業担当者は、完全に分かるのに一年かかる。分かった時には、クラス解体である。 どうような性格かが、書類に書かれるのは、「指導要録」だけである。それは、記録のためであって、実地に使うためのものになっていない。 医療は、ミスをすれば人の命に関わる。神経の使い方は教育とは比べものにならない。見習うべき点が多々あるような気がした。
前に、ボツになった離任挨拶要旨を紹介したが、あれは生徒向け。こっちは、職員の送別会での異動挨拶に考えた要旨で、これも「幻の」である。
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