ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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中国から来たSさんが、社会の先生のところに質問にきた。便乗して、中国語について知らなかったことを色々教えて貰う。 彼女は中学の時の来日。日本語は達者である。森鴎外『舞姫』の文語を、分かりやすい文章だと言っていたので、もう万全。そう言えば、今、西洋人の血が混じって、洋風の顔だちをしているHさんを教えているが、彼女の読解力も実にしっかりしている。下手な語尾上げニッポン娘の比ではない。 さて、Sさんに、「教科書に出てくる漢文というのは、古い中国の文章だけど、上から下に全部中国語で読めますか。」と聞いたところ、難しい漢字は幾つかあるが、九割以上は読めるという。特に「漢詩」は簡単なようである。 ただ、現代中国語は簡体字なので、日本人の使う漢字のほうが難しい場合が多いそうで、十七歳の彼女では、読めるけど、書けない漢字が時々あるという。 「香港や台湾は正字を使っているから、もっと画数が多いはずだよ。」と付け加えたが、彼女の人生経験で、そこまで、しっかりした区別をもって各地域の漢字に接しているわけではないので、ちょっと、その辺は分からない風だった。 ではと、気になっていた質問をする。 北京語や北京官話(標準語)で話している人は、あの飛び跳ねたような広東語は理解できるのだろうか。 彼女の話によると、二割ほど同じ発音のものもあるが、基本的にはさっぱり分からないそうだ。逆に、広東語の人は、北京官話を知らないと中国全土で仕事ができないので、基本的に分かるはずだという。 この点、後で社会の先生に解説して頂いた。香港などの地域では、学校教育がもう官話のほうなので、徐々にそちらを話す人口が増えているという。家では広東語でも、公では北京官話。 香港に二度行った私の経験では、あそこは、英語ができるかできないかで収入や身分が大きく違うから、英語の習得は死活問題のはずだ。とすると、これでは、三カ国語を要求されているようなもので、考えただけでも、なかなか大変な言語状況である。 ところで、Sさん、上がったり下がったりする例の漢文訓読を、「なんで、あんな面倒なことをするのか、よく分からない。」と言っていた。漢文独特の言い回しの方がよっぽど難しいのだそうである。 まったくその通りだと思う。「〜べけんや。」(可能に反語がついた形。「〜できるだろうか、いや、できない。」)なんて、現代語ではまず使わない。「訓読」とは、昔の日本人が、中国語ができなくても、訓点つけることで意味だけをとろうとした、いわば「方便」である。バイリンガルの彼女が、古びた訓読の言い回しを覚えても、利点はほどんどない。 そうか、そうだよね。妙に納得する発言だった。(つづく)
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