ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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構えなくても心にすっと入っていく文章ということで、九月に再読したばかりの星野道夫のエッセイ『旅する木』(文芸春秋社)を後期校内読書会のテキストに選んだ。下準備をしていて、集中の佳作「アラスカとの出合い」が中学三年の教科書「国語三」(光村図書)に入っていること、高校の英語教科書にも彼が紹介されていることを知る。もうどんどん教材化されているようである。 司会係が熱心に色々な質問を考えてきてくれたので、それをもとに話し合いは進行した。 「星野さんは十六歳でアメリカ単独旅行をしましたが、皆さんはどこに行きたいですか。」という質問には、参加者の女性は全員、外国の名を挙げた。行き先は、アメリカばかりでなく世界各地に散っていて、しかも、しっかりした人生上の理由があった。男性陣が国内旅行ばかりだったのと対照的でる。 そういえば、以前、「国際交流会」を企画し、世界各国の方をお招きした時、参加者に男子生徒は一人もいなかった。かつて「私は男に期待しない、女性に期待する。」と言い放った某評論家がいたが、確かにそんな感じである。 「あなたの人生最大の冒険は何?」「人生に影響を与えた人との出会いは?」など、星野さんが投げかけたモチーフで、一人一人、自分の体験を語る。中にしっかりした意見をいう生徒さんがいて感心したが、後で聞くと、大所帯の部の部長さんだという。なるほど、推されるはずである。 実施後の感想文には、「なかなか真剣な話をすることは普段ないのでよかった。」「皆がいろんな出会いがあって影響を与えられながら生活していることを実感した。」「自分の体験でも改めて考え直すと自分の中でどういう影響があったのかよくわかった。」などとあった。 本当の自分の思いは仲がよい友だちにもあまり話さないのだろう。授業も一斉授業ばかりで、自分を人に静かに語るというチャンスは学校内ではほとんどない。 ディベートみたいに堅苦しい枠組みもなく、茶菓も出て、リラックスした中で素直に自分の考えが言える。でも、一応、助言の先生が控えているし、みんなもしっかり答えているから、下らぬ意見は言えないとちょっとは考える。そんな中庸の雰囲気だからこそ、心に自問自答した答えを言えるのだろう。 もっとこうした時間があるといい。真面目に生き方を考えている同輩がいることを知るだけでいい刺激になる。それで、ぐっと大人になるかもしれない。 「何時に終わるの? 部活があるから、早くみんな意見を言ってさっさと終わろうよ。」と事前に言いにきた生徒さんもしっかり意見を述べ、いい加減な態度は見せなかった。おろらく、これまで体験した意見を言い合う集まり自体にいいイメージがなかったからだろう。 この読書会という集まり、大学の文学ゼミとよく似ている。だから、ホントは文系の勉強の本体という気もする。 一部の生徒だけが味わって、ほとんどの生徒はこういう世界を知らずに大人になってしまう。残念だなあ。
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