ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2011年10月04日 :: 「アローン・アゲイン」を生で聴く |
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TOTOに続き、誘われてギルバート・オサリバン金沢公演を聴く。於金沢市文化ホール。他の日本公演はクラブ・ギグで、ホール会場は金沢のみ。埋まるか怪しいと思っていたが、案の定、席は六分の入り。ここのところの外タレ・ラッシュの中、この料金では仕方がない。
聴衆の年齢層はTOTOの時より更に高い。それは、ヒットした年が十年近く早く、出世作「ヒムセルフ(Himself)〜ギルバート・オサリバンの肖像』(LP)は一九七一年の発売だから当然。私は前日に貸してもらった彼の赤い色のベスト盤(CD)で予習して臨んだ。 バックバンドは、ギター・ドラム・ドラム・キーボードの他に管・打楽器担当を加えた五人編成とシンプル。顔ぶれは白髪・禿頭のオジサンたち。もともと、同じような曲調の多い彼だけに、サウンド的にも単調になるのではないかと危惧したが、このベテラン・メンバーが要所要所にコーラスを入れたり、楽器を持ち替えたりして飽きさせないように工夫されていた。曲も、ブルーグラス・マリアッチ調あり、矢沢永吉ばりの泥臭いロック調ありと変化をもたせていて、それは一定の成果を上げていた。 ただ、やはりギルバートのキーボードがリズムを提示し、単一のリフに乗ってメロディが展開するパターンばかりで、「アローン・アゲイン」のリズムパターンのバリエーションように思えた曲が何曲もあって、やはり単調になりがちだったのは否めない。 しかし、彼の書くメロディは判りやすく、一番を聴いたら二番以下がすぐに口ずさめるものばかり。アドリブの要素がまったくないので、ジャズ耳の私にはスリリングさに欠けて退屈するのではと危惧していたが、この美しく愛らしいメロディを連続して聴いていると、曲のよさ自体がじんわりと伝わってきて、ジャズと違った音楽の楽しさを味わうことができた。 ただ、英語の歌詞の世界が全然判らないので、歌詞が提出するイメージはどんなだろうと歯がゆさを感じた。おそらく彼の音楽を聴く楽しみは半分になっていると思う。シンガー・ソングライターだけに尚更である。帰宅後、「アローン・アゲイン」の訳詞を読んでみたが、タイトル通り暗い歌だった。 おしゃべりがほとんどなく、曲を次から次へと演奏していくだけなので、その点、聴衆とのコミュニケーション不足を感じて物足りないと思った知人もいたようだが、もともとシャイな人である。最後の、ロックばりに椅子の上に乗ってマイクスタンドを振り上げる派手なパフォーマンスなどの方が、彼精一杯のサービスの部類であったろう。カントリー調の曲も多かったので、全体的に、古いあちらの流行歌の歌い手が、バンド引き連れ田舎巡業しているといったイメージがあった。キーボードの調子が悪いのか、時々、キーボードをぶっ叩いていたのもそんな感じを助長させていた。 彼がヒットを連発したのは七〇年代半ばころまで。「アローン・アゲイン」は七二、三年。あれからすでに四十年近くの歳月が経過している。声も多少ざらついてしまっているが、これも仕方がない。もう彼は六十五歳なのだから。 あの頃を共有していない人はあまり面白くなかったと言っていたが、同時代人にとっては、あちらこちらに七〇年代の匂いを感じて懐かしく、特に前列に陣取っていた人達は大いに楽しんでいたようだった。 誘われなかったらおそらく行かなかったコンサート。でも、行ったら行ったで楽しかった。あの頃、毎週毎週洋楽ベストテンの順位当てをしていた友人連中の顔を思い出しながら「クレア」や「ゲットダウン」などお馴染みの曲を聴いていた。
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