ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2011年10月31日 :: シンプル・断捨離でいいのか |
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シンプルがいいと何度かこの日記で発言しているが、最近、それと反対のことも感じているので、一言。 世の中、シンプルな生活を是とする文化になってかなりたつ。例えば服。ここ十数年、装飾の少ない単色・無地系が主流だった。我々年寄りには判りやすいので嫌な気持ちはぜず、良い傾向と思っていた。ユニクロ、無印良品などがその服飾文化の担い手で、両社が興隆したあたりの時期にこのシンプル文化は定着したように思う。住まいもゴチャゴチャを嫌い、「捨てろ捨てろ」路線。住宅雑誌は何も物のないすっきりとした室内を撮したものばかり。 でも、それだけでいいのだろうか。シンプルは判りやすい世界だが、ある意味、袋小路的な行き止まりの世界ではないのか。多様化を拒絶する世界と言っていいかもしれない。むしろ、それ以外の加飾的世界のほうが無限の可能性が広がっているのではないか。 例えば、金沢の伝統工藝。九谷焼にしろ輪島塗にしろ加賀友禅にしろ緻密な装飾が加えられることが多い。それらは繊細な手仕事の美しさを味わうべきもの。ところが、最近のシンプル路線で育った若者が、装飾の施された端正な手仕事ものを「趣味じゃない」の一言で片付けてしまうのを何回が続けて見聞きした。確かに趣味の問題だから四の五の言ってもはじまらないが、そう言い切って捨て去った途端、芳醇な美の世界は彼の人生の視界からははずれてしまうのではないだろうか。それでは勿体ないし、もし全体で捨て去ったら、それまで培ってきた文化自体が衰退するということでもある。 シンプルは一つの美意識だが、それ以外に自分の嗜好がないということは、選択肢がない、世界が広がらないということでもある。日本的色使いの美しさ、文様の美など抜け落ちていくものは余りにも大きい。住まいにしても、汗牛充棟、蔵書やLPが雑然としながらも使いやすく並ぶという美しさというものもあるはず。我が実家の和洋折衷建築も、天井のモルタル細工、飾り暖炉の文様、ガラスの磨り模様、窓ガラス枠の洋風な切り方など、加飾された部分こそ見所になっている。シンプル重視思想だったらすべていらない部分である。シンプルは、複雑・雑多・多様性を許さない、沢山ある文化の中の痩せたたった一つだけの文化だという気がする。 「捨てる技術」がだいぶ前に流行った。今は「断捨離」だという。その本はベストセラーになったらしい。この言葉が流行って、基本、未だにシンプル路線が続いているのだということを知る。 (生活面やデザイン面などをゴッチャにした曖昧な文章だが、さしあたりのメモとして掲載。)
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