ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2005年06月14日 :: 丸谷才一『猫のつもりが虎』(マガジンハウス)を読む |
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丸谷才一のエッセイ集を、いつも行く書店の棚で見つけた。昨年6月の発刊。新刊以来、ここにいたのだろうか。気がつかなかった。 90年代始めに、特定読者向けに配られていた雑誌の連載エッセイで、これまで本になっていなかったものを、今回、和田誠のカラーイラストも、そのまま、ふんだんに入れて、単行本化したものらしい。内容は、例の知的好奇心の横溢した縦横無尽の蘊蓄話で、時事をほとんど入れていないので(年来のファンであるホエールズが勝った負けたというような話はあるけど)、十年以上昔の文章でも、全然古びていない。 和田さんと丸谷さんは本当に長いコンビで、丸谷さんのエッセイといえば和田さんの絵と、もう付いたもの状態である。今回は、タイトル絵で各回一頁、挿絵で一頁となかなか贅沢な作り。紙質もカラー用。文章の量がない分、活字も大きく、老眼進行中の目に優しい。弓道大会控室という、慌ただしい時間の合間に読むにはちょうどよい選択だった。 絵で楽しみ、文章で楽しむ。 それにしても、和田さん、一時期、爆発的に流行児になって、新刊本の平置きを俯瞰すると、大抵、二、三冊、彼の装幀の本があった時期がある。大好きなイラストレーターだったので、こんなに売れると、芸が荒れるのでは、とか、ブームが去ったら忘れ去られるのでは、とか、ちょっと心配した時期もある。 つまり、この画家独特の「ほっこり」としたスタイルが、これでは飽きられて、見られなくなるのではないかと恐れたのである。 でも、彼は、今も売れっ子で、そして、全然、スタイルを変えていない。それがいい。ベテランの今は、和田さんのスタイルに合う文章の方が、向こうからやってくるという感じになっているのではないだろうか。 素人が手書きで書いたかのようなゴジック体風の中抜け文字。これで、和田さんの装幀だとすぐわかる。それに、似顔絵が本当に似ている。 そして何よりも、本文と実にうまく連動している。挿絵として、これは最も重要なことだ。その文章のポイントを上手に掬い取って、その上に、和田流ウイットをまぶして絵画化している。丸谷さんが離さないのはよく分かる。
最後に、今回のものを一つ紹介したい。文章で説明しても面白さ半減ですが。 野坂昭如と半藤一利が、丁々発止、相撲談義している様子を横で聞いていたという回(「四十八手」)。錦絵風モリモリ筋肉の力士の投げのポーズに、二人の似顔がのせてある。髷を結った野坂と半藤の顔。 はははは。傑作!!
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