ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2006年01月26日 :: 受験最前線 |
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ご存じのように、センター入試は、個々の得点を本人に通知しない。その秘密の点を持って各大学を受けることによって、学校間格差がなくなるという理想主義によって運営されている。そこで、業者はセンターの何倍も早いコンピューターを導入して、自己採点を集計し、見事なまでの情報を提供してくれる。月曜日の午前中に自己採点を送って、もう今日の午後から、各業者の入試判定システムが稼働し始めた。結果が入っているから、どの大学の可能性がどのくらいか、縦から横から条件入れて検索できる。三年担任は、今夜、一人一人の結果を分析し、どう助言・指導するか策を練る。受験校教員の腕の見せ所である。コンピューターとにらめっこ。おそらく今日は夜なべである。明日から個人面談にはいる。 担任は四十人を相手にしなければならない。一夜で全員の進路の助言を考えるわけだから、一人、十五分が関の山。それに対して、本人は、延々と条件を入れ替えて、進路を模索している。同じ情報とシステムを使っているのだから、かけた時間の分、生徒のほうが、圧倒的に詳しくなるのは当たり前である。 昔は、教員の経験と勘が圧倒的にものをいったが、今やそれらの重要性は大幅に減じた。機械挟んで要ご相談の世界である。それどころか、逆に、経験が邪魔をする事態にもなりかなねない。 今年にかぎっただけで、国語Tがなくなり、国語の問題は一つになった。英語リスニングが導入されたが、その五十点分の、各大学の扱いはどうしているか。日程が大幅に変更され、初日文系、2日目理系科目となったなど、大きく変化している。数年前の知識でしゃべるととんだ恥をかく。 どうも、単なる教科担当は、いらぬ知識を受験生に授けるより、淡々と問題解いているほうが無難なようだ。 ところで、先日のセンター入試「漢文」問題。本文が簡単で、ほとんどの受験生は意味がとれたようである。ネズミは猫を恐れるが、人間は恐れないという話。高校一年レベルの実力があれば、まず、わかる。ところが、選択肢が紛らわしい。それで受験生を篩(ふるい)にかけている。読みとり問題ばかりで、直接、訓読(訓点)を問う問題もない。これまでの地道な句法の勉強がなくても、どことなく出来てしまう。これでは、漢文軽視に拍車をかけるのではと心配である。 現代文分野も同様の傾向があって、選択肢五つのうち、三つは全然迷う人がいないくらいミエミエに間違っている。あとは二択の勝負。それが、こっちもどっちだとわからないくらいの微妙な違い。重箱の隅である。そんなところで勝負するより、もうちょっと、残り三つの間違い選択肢に骨があってもいいような気がする。先だっての日記で、問題集の選択肢の重箱の隅具合を嘆いたばかりなのに、本番でもそうなった。この傾向はどんどん助長されるに違いない。 学問の基礎的能力が備わっているかを聞くのではなくて、選択肢の微妙な違いを嗅ぎ分ける能力の試験である。ますます教員はノウハウを強調せねばなるまい。こんなのが国語という学問なのか、つまらねえ、と思われるだけのような気がする。
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