ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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放課後、四階の教室にいく。背広の上着を教卓の中に忘れたのである。教室では、もう、そのクラスの生徒はおらず、吹奏楽部員が各パートに分かれて個人練習をしている。肺活量が必要なトランペットセクションも今や全員女性である。 さあてと、上着を肩に、ぶらぶら階段を下りながら、ふと外を見遣ると、今まで曇っていた灰色の空が切れて、遠くのほうが、そこだけ光って見える。 目を凝らすと、それは、ビル群の切れ目にある地平線の横長の光の帯。あ、海である。ほんのわずかではあるが、山を背にした山懐のここから海が見える。 十五年も勤めていて初めて知った事実に驚く。普段は、町中のどんよりした空気の中で気がつかなかったものが、サーチライトのような光線の海面反射によって存在を自己主張していた。 慌ただしく授業の合間に行き来している時だったら、わからなかった。色々な条件が揃って、今日、気づかせてくれた。 下るの止め、四階の上にあるベランダに駈け上がって眺める。光のビームは、やがて消え、海の存在は、地平線の霞に紛れた。 ちょっと、「更上一層楼(更に上る一層の楼)」(王之渙『登鸛鵲楼』結句)の気分を味わったひととき。 脳裏に、王が見た黄河の景色を浮かばせながら、しばらく、欄(おばしま)に頬を寄せて佇んでいた。 白日依山盡 白日山に依って尽き 黄河入海流 黄河海に入りて流る 欲窮千里目 千里の目を窮めんと欲し 更上一層楼 更に上る一層の楼
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