ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。
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百万石まつりの帰路、通称、六斗林の通りを通った。旧鶴来往還の一部である。 結婚して、自宅から一キロ弱離れたところに住まいするようになった。たかだか一キロであるが、生活圏が小学校校区でいうと一つ分ほどずれて、繁華街に歩いて行くときなど、この江戸時代から続く旧街道をよく通るようになった。結婚当初は、町並み再発見という感じで、小路に分け入り、路上観察をしたものである。 二十年前にはあった個人営業のお店が、少しずつ潰れていっているのがわかる。六斗広見の銭湯がなくなった。お婆ちゃんが切り盛りしていた小さな小さな八百屋さんも店を閉めた。学生さん相手の万屋さんは駐車場に。 そんなことを夫婦で言い合いながら久しぶりにこの通りを歩いた。 腰を傷める前、よく行っていた一膳飯屋さんの灯が見えない。土曜日なのにどうしたんだろうねえと言いながら、店の前までくると、張り紙があり閉店していたことを知る。 このお店、近くに金沢大学男子寮があり、学生さんで繁盛していたのだが、大学が角間に移って、寮に入居している人が減った。その上、大学周辺に飲食店が沢山出来て、わざわざこちらまで戻って夕食を食べる必要がなくなった。お世辞にも小綺麗な店とは言えなかったので、今時の若者に受けなくなっていたこともあるかもしれない。近年は、年配の常連さんばかりになっていた。 若者相手の名残りか、量がちょっと多く、そのせいで、病気以来行かなくなっていた。最後に行ってからもう二年半くらいか。 カーテンの隙間から店をのぞき込む。什器のなくなった閑散とした店。カウンターの板の茶色ばかりが目立って見えた。気さくな旦那さんと奥さんが切り盛りしていて、よくテレビのスポーツ放送などを肴に、マスターや常連さんと雑談しながら楽しく夕食をとったものだ。レバニラ炒め定食が我々夫婦の定番注文だった。 あのご夫婦は、今、どこにいるのだろう。お子さんは大人になっていたので、二人生きていくことくらいなんとかなるだろう。 常連の白髪交じりの配達が仕事のおっちゃんは、今、何処で飲んでいるのだろう。あそこで、知人と、や、お久しぶりなんてことも、もうないことになった。 結婚してからずっと続けていた生活の一部が、途中の中断のせいで、出来なくなっていた。そして、気がつくといつの間にか終わっていた。そんな感覚がすっと胸を駆けぬける。 淋しいけれど、仕方がない。それだけ歳をとってきたのだから。 みなさんお元気で。さようなら。 もう腰が限界で、休みながら歩いていたところだったので、そこを立ち止まりのひとつとして一息ついて、また、だましだましの歩行を続けた……。
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