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ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。

 内容は、文学・言葉・読書・ジャズ・金沢・教育・カメラ写真・弓道など。一週間に2回程度の更新ペースですが、休日に書いたものを日を散らしてアップしているので、オン・タイムではありません。以前の日記に行くには、左上の<前月>の文字をクリックして下さい。

 

・XP終了に伴い、この日誌の更新ができなくなりました。この日誌の部分は、別のブログに移動します。アドレスは下記です。

 

エキサイトブログ 「金沢日和下駄〜ものぐさ〜」
           
http://hiyorigeta.exblog.jp/

  2005年10月16日 ::  (つづき)

 話の始め、母が娘の来訪を喜んで、十三夜の月見団子を勧める場面が直接のタイトルの由来である。
「十五夜にあげなんだから片月見に成つても悪るし。喰べさせたいと思ひながら、思ふばかりで〜」と母。
 「片月見」。主に関東方面では、江戸時代、十五夜と十三夜、両方観ないと片月見になるといって忌み嫌ったらしい。北陸の私には初耳の言葉である。
 「今日は旧暦の十三夜、旧弊なれどお月見の真似事に団子をこしらへて」とあり、「亥之助も何か極りを悪がつて、其様な物はお止なされと言ふし」という台詞から、明治二十年代後半には、すでに十三夜のお月見は「旧弊」な風習と思われていたことがわかる。明治六年に新暦にかわってから二十年以上が経過している。前の時代の文化が滅びるのに十分な時間である。
 前近代にいる父と母、近代の浅薄性を体現する夫原田勇、前近代から近代に足を踏み入れつつある弟の亥之助。そうした中で揺れ動くお関という、実にあの頃の時代の過渡性を象徴した図式になっていて、一葉さんの時代把握の確かさと人物への載せ方に舌を巻く。
 そのお関は、弟と違って、母手作りのお団子を「ありがたく頂戴」するタイプの人物である。十三夜のお月見話で、ぱっとそれぞれの立場が明確になる象徴的な場面。
 こう考えると、「十三夜」とは、滅びゆく時代の象徴であることがわかる。時をこの夜に設定し、かつタイトルにしたこの閨秀作家が、如何に物語の主題の明確化に意識的だったかを物語っていて、さすが。文章は擬古文で古めかしいが、そうしたところは驚くほど近代主義的である。
 それにしても、この作品、後半の、零落した幼馴染みとの再会の意味も含め、論ずるところ満載である。ちょっと文学を囓った人なら誰だって分析を試みたくなる作品といえる。現に今、私の頭の中を、論文もどきの理屈が巡っているが、大抵、ぐるぐる低回しているだけで、それなりの結論に達せず、いつのまにか放置され忘れさられてしまうのが、よくある落ち着き先である。今回も、そうなりそうな予感がたっぷり。

 

 昨日の十三夜、残念ながら曇天で月は見えなかった。それにしても、十三夜を知っている日本人は、今、どのくらいいるのだろう。
 明治の女性の生き方に思いをはせながら、別名「栗名月」であるからと、レトルトパックの甘栗をパクついているのが、なんとも現代的風流の図である。栗は大好物。
 「あんた何個食べたの? 九個? もう袋にそのぐらいしか残ってないんじゃないの。」 百年後の日本人女性の某が、当然の権利を主張する声が背中から聞こえてくる……。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(17日の部分月食 2ch掲示板の作例より転載)

 
 

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