ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2005年07月09日 :: コーヒー消費量日本一の町 |
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いつも行くB屋さんで、職場用のコーヒー豆を多めに買った。年度初め、小部屋のコーヒー係を自分から買って出たからである。 コーヒー飲みである。かなり飲む。日によっては五杯くらい。胃にはよくないかもしれない。飲み過ぎの日が続くと胃痛になる時もあるくらい。そのギリギリのセンで飲んでいる。変なバランス感覚。 その昔、コーヒーと言えば、インスタントコーヒーにお砂糖いっぱいであった。私たち以上の世代は、家で豆を挽くことなど考えられず、そんなことしているのは、余程のお金持ちだけだった。本物は、喫茶店に行かないと飲めないものと思いこんでいた。町にコーヒー豆屋さんがなかったころの話である。 十年ほど前、奈良の旧志賀直哉邸を見学した時、大正末期頃の建物なのに、洋間のダイニングキッチン、棚には本格的な電気コーヒー豆挽き機が置かれていて、そのハイカラな生活ぶりに驚いたことがある。 小学校のころ、父親に繁華街の喫茶店に連れて行かれて、はじめて、プロが入れた豆挽きコーヒーを飲んだ。ミルクが白い渦状に流れ、それが、味に微妙な変化をつけていた。子供心にコーヒーの苦い味を美味しいと思ったのは、この時が初めてである。もう、かれこれ三十五年前のこと。 中学生のころ、今度は、金沢にはじめて豆屋さんができた。結構近くて、バス停にして二つほど向こう。ご主人さんは、趣味がこうじて、その頃の流行語「脱サラ」して出した店。地元ではちょっと話題になった。長い間、金沢でコーヒー豆屋さんは、ここだけだったはずである。その豆屋さんが、実家のすぐ近くに引っ越してきたのが四半世紀前。家でコーヒーを挽く習慣が定着したのもその頃のことで、以後、ずっと、この店を贔屓にしている。 この前の、入院お見舞いのお返しも、コーヒー豆セットを大量に発注して、お店の老夫婦に喜ばれた。何分、少量薄利の商売である。一度の大量注文は助かるのだろう。私だって、一度に三キロの豆を買ったのは初めてだった。 観察していると、コーヒー豆の吟味や焙煎は、旦那さんの担当、浅すぎず深すぎずの焙煎は、ここの味の命である。でも、お店に旦那さんしかいない時は、ちょっと困る。会計や受注作業がもたもたして、さっぱり作業が進まない。そのあたりを奥さんがしっかり押さえていて、本当に夫婦二人三脚のご商売である。 旦那さん熟練のロースト味に慣れているしまっているので、後発の地元大手チェーン店の豆は、みんな焙煎のしすぎとしか感じない。深炒りは豆本来の風味を壊す。 私も、手の出しやすい安価な種類くらいは、色々飲み比べてみたが、ブレンドを真ん中にすると、モカは酸味が強く苦みは少なく、キリマンジャロは苦みが強い。そのくらいは分かった。特にキリマンは、美味しくないショップのものは、苦みがだけ立ってコクがなく、最悪となる。モカは比較的当たりはずれが少ないようだ。 私は、ここのところ、モカブレンドあたりに落ち着いている。
あれから、金沢に本当に多くのコーヒー豆屋さんが出来た。ご近所だけでも四軒ある。先年、新潟から一年間研修で金沢にいらした方も、コーヒー豆屋さんが多い町だと指摘していた。ただ、こっちは、今やどこの町もこんなもんだろうと聞き流してしていたのだけれど、この前、全国ネットのテレビで、日本一コーヒー豆の消費量が多い町として紹介されていて、かなり驚いた。古都と西洋の飲み物。全然イメージが結びつかない。 その理由に、また唸った。金沢は、お茶とお菓子の伝統がある。今も「お茶の時間」が生活に定着しているからだというのである。つまり、日本茶で一休みがコーヒーになったという。 平日、仕事で一段落したら、「お茶にしますか?」という会話は、我々、日常茶飯である。休日、家では、終日、コーヒーを用意している。こんな行動も、地域の伝統に繋がっているのかと思うと、何だか、未だに加賀百万石のお膝元、おっとりと仕事や商売をしている感じで、時代に取り残され「伝統工芸」しかめぼしい産業が残っていない県民気質を象徴しているなあと感心した。全然、威張れない。 でも、じゃあ、他県の人は、お茶の時間ってしないの? ペットボトルでウーロン茶でも飲んでいるのかしらん?
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