ものぐさ 徒然なるままに日々の断想を綴る『徒然草』ならぬ「ものぐさ」です。
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2005年04月06日 :: 愛・地球博開幕 環境と夢と |
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9日に、愚妻が母親と愛知万博を見に行くことになった。今、ネットで一所懸命下調べに余念がない。
ちょうど退院の時期と、万博の開幕が重なったので、連日、マスコミは万博の会場案内など流して喧しかった。何年もたつと「入院=万博」で、いつ手術したのかを思い出すことになるような気がする。 以前、家族で信州へ奮発して大贅沢旅行をした。その時、潜水艦なだしおの衝突事故があって、連日どの旅館に入っても、テレビでそのニュースをやっていた。そのため、あの時は贅沢したねと話題に出るたび、次に、そういえばなだしお事故やっていたねと、きまって話は続くのであった。まあ、これは、個人的事件を社会的事件と繋げて、年を記憶に繋ぎ止めようとする無意識の人間の常套行為なのだろう。 ところで、そのニュースの中で、「大阪万博をご存じの方はかなりのお歳の方で〜」とテレビの若いアナウンサーが発言していて、これはちょっとあんまりだった。大阪万博のことを強烈に覚えている人は、大人よりもむしろ子供だったはずで、とすれば、40代が一番懐かしい世代ということになる。そうか、「かなりのお歳」かあ。 その「かなりのお歳」の我々の世代、ほとんどの子が大阪に行って来た。いかない子供の方が稀。私の父親は、でも、「親の収入でいくのではなく、お前が大人になって、稼いだ金で、自前で海外の万博に行って来なさい。」という理屈をこね、つれていってくれなかった。夏休み中に行った子が多くて、夏休み明け、万博話題で盛り上がる友達の会話に入れなくて、結構、傷ついた記憶がある。不憫に思った友人が、各パビリオンで押したスタンプ紙を何枚かくれて、でも、それが、また、なんだか悲しかったような……。 あれ、なんでいかなかったのだろう。本当に「自力で」思想だけだったのだろうか。なんだか、所謂「大人の都合」ってやつが入っていたような気がする。 もうひとつ。これも、テレビでのこと。アナウンサーが「愛知博。愛・地球博」と言い換えていて、あ、と気づいた。これ、単なるダジャレだ。チを愛のほうにもっていくと<アイチ>となる。有名な話なのかもしれないが、おいおいダジャレかよと、「チョットなあ」感あり。 さて、この万博。ベルリンに続いて環境博だという。造成に関して、もすったもんだがあったのは周知の通り。いかに地球環境を保全して、長く地球丸を保たせるかがテーマだと思っていた。大阪万博では、バラ色の未来が提示されていて、日本の大手企業が悉く参加、フジパン館なんていう食品会社のパン型風船状パビリオンまであった。今回は企業ゾーンは大手だけ。森も多く、建物だらけではない。目標入場者も前回の六千五百万人に比べ、二千万人弱とえらく控えめである。 しかし、そのわりに、テレビで派手派手しく紹介されているのは、例えばトヨタのロボット。二足歩行で、格好だけでなく実際に吹奏する音楽演奏ロボットや、タイヤのホイールベースがスピードに応じ変化する未来の一人乗り電気自動車など、大阪の時と比べて、あれから、ここまで人類は進化しましたと紹介されている。 入場者も、そうしたものを観たくていくのだろう。トヨタ館は大人気で予約が一杯である。 でも、どこが環境なのだろう。我々はイベントに「夢」を期待する。博覧会は本質的にそういうものだ。真の環境への行動を主張すれば、夢をセーブすることになる。どこをわれわれは我慢しあうかというようなテーマになって、人の欲望(夢)と環境維持との折り合いという現実的な話題になってしまう。もちろん、欲望と環境の一致など画餅にすぎない。つきつめていけば、そもそも博覧会自体の存在理由さえ危うくなってしまう。 環境を主張しつつ、しかし、バラ色の浪費型近未来の夢をも紡ぐ。こうした自己矛盾の中で、客足低調な万博は淡々と開催されていくようである。 何年か後、子供たちが、自分があれをした年はたしか万博の年だったと記憶を繋げてくれるかは、かなり心許ない気がする。
(撮影愚妻 4月9日夕刻)
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